例えば人が何かを決める時、
自分が決めたように思っていることの殆どは、本当はそうではないような気がします。
私の仕事に関して言えば、まず家。
どの工務店・ハウスメーカーにするかに始まり、床の色やクロスの柄もそう。
それは季節や時間が決めさせたのかもしれないし、その時の精神状態かもしれません。
自分では気づいていない何かが要因となって、
決めていることの方が多いのではないでしょうか。
そして、私はそういう決め方が好きです。
私はお客様がカーテンを選ばれるにあたって、まずお部屋のテイストをお聞きします。
ナチュラルなのかモダンなのか、それともクラシックなのか。
でも、その後は出来るだけお客様に選んで頂くようにしています。
そこにはお客様も気づいていない意味があると思うからです。
そして、その生地が窓の大きさや構成に合わなければ、
それを合うようにご提案するのが私の仕事だと思っています。
ただ一つだけ、ナチュラルだけは違います。
「ナチュラルにはアイボリーかベージュ」という先入観が、
お客様が生地を決める「意味」を消してしまうからです。
今回ご紹介するK様も、最初はそうした色を希望されていました。
選ばれた生地をご自宅で合わせたらよく似合いました。
私が同意したら決まっていたと思います。
でも、思い切って言ってみました。
「色を入れてみませんか?」
生地は最初から選び直し。
私も全てのカタログを引っ張り出して、「色のある」生地を探しました。
家だけではなく、K様のイメージで。
完成したのがコチラです。
お勧めしたのは五洋インテックスの「ララ(SD5138)」。
後ろから差す陽の光が生地の魅力を引き出して、
明るく落ち着いたナチュラル感を演出してくれます。
腰高窓は窓上にエアコン用の電源が来ていましたので、
K様がご希望されている機種を教えて頂き、
私が電器屋さんに見に行ってサイズやルーバーの動きを確認。
その後施工業者さんの所へ行き、納まりを事前に確認して設置してもらいました。
エアコンの関係でレールの高さがそこだけ低くなってしまうので、
掃き出し窓と腰高窓のカーテンは裾や上部からの柄合わせはせず、
床からの柄位置を合わせて、ボーダーが段違いにならないようにしています。
タッセルが柄を殺さないよう、カーテンと同じ位置にくるように房掛けを取り付けました。
K様にもとっても喜んで頂き、
数日後お礼のメールを頂きました。
「工事をしていただいた晩は、カーテンを眺めながら美味しくお酒をいただきました。」
お客様が当店を選んでくださった意味もまた、きっとあるのだと思います。