カーテンを選ぶ理由はお客様にとって様々です。
シンプルなものをご希望の方もいらっしゃれば、
お部屋をデコラティブに飾りたい方もいらっしゃいます。
そして、心の奥ではちょっと思い切った選択をしたいと思いつつも、
そこに勇気が必要な方もいらっしゃいます。
美容院で本当は色々相談してみたいと思いつつ、
『あ、あの………今日はその……いつも通りで』と言ってしまう僕には、
その気持ちがとても良く分かります。
小田原市のM様もそうでした。
気に入られたのは縦に延びる花柄が印象的なマゼンダ色のカーテン。
そのインパクトにご主人も少し迷われましたが、
せっかくの新居だから楽しいものをとお選びになりました。
掃き出し窓には花柄を、3連の滑り出し窓には同じシリーズのストライプを使いました。
柄を変えてあげることで花柄の甘さを抑え、北欧モダンの雰囲気をかもしだしてくれます。
そしてこのシェードにはもう1つ、当店ならではの工夫があります。
実はこのストライプの生地、花柄には無いブルーのラインも入っているのです。
でも、それが入ってしまうと色の統一感が無くなってしまうので、
発注の段階でブルーのストライプを外した柄位置を指定しています。
でもそうすると一つ問題が…。
柄位置を指定する分、生地の余りも多くなってしまうのです。
そこで余った生地を組み合わせて階段のシェードに使いました。
まるで最初からこの柄のように見えていますが、
余った生地をうまく組み合わせ、適度にランダム感がでるように計算し、
シェードのリングテープの位置とずれない割り付けになるように確認してのご提案です。
当初はロールスクリーンを付ける予定でしたが、
生地に余りを使う事で価格もほとんど変わらずに済みました。
でもこのプランで最も迷ったのは、
こうした知識の部分ではなく、M様の言葉をいかにプランに取り入れるかでした。
M様が『ちょっと冒険してみてもいいんじゃないかと思うんです』とおっしゃった、その『ちょっと』という言葉。
その『ちょっと』とはどの位なのか、
M様の冒険心とお部屋としての完成度が交わるその部分を考える事が最も重要な事でした。
お蔭様でM様にも喜んで頂くことができました。
僕もいつか、美容院でM様のように言える日が来るのでしょうか、、、
無理な気がするなあ(笑)