今年もまた、大学時代の友人Aから年賀状が届きました。
仕事の忙しさを言い訳に年賀状を書かず、
返事も出さなかった期間が数年間あった私は、
今やほとんど年賀状が来ないという状況になっているのですが、
Aだけは、この『失礼な男』に毎年必ず年賀状をくれます。
Aは大学時代に私が住んでいたアパートの隣室の住人であり、
同級生であり、そして私の保護者(笑)でした。
風呂・トイレ共同、カギはかかるが開いてしまうオンボロ平屋のアパートで、
私とAを含め5人の住人は、友人であり家族みたいな関係でした。
皆、一様に金がなく、野菜や米を持ち寄ってはカレーを作って食べ、
夜は誰かの部屋に集まって、くだらない話に盛り上がりました。
部屋の掃除をしていたら豚肉を見つけて、
『焼けば平気だろ』と食べて死にそうなった者(匿名希望Sさん)が出た時は、
皆が看病してれたものです。
お金をかけずに楽しむ、という私の仕事の原点がそこに……
あるワケないか(笑)
さて、今日ご紹介する現場はそんな私が得意?とする、
『値段が高くならずに、尚且つ楽しく』をテーマに仕上げた現場です。
F様はご来店当初から『カーテンを楽しみたい』とおっしゃっていて、
最初に気に入られたのがバーチカルブラインドのカラーコーディネート仕様でした。
前回のブログ同様、アイテムは決まったので、
あとは採寸・発注・取付と進めていけば良いわけですが、
そうならないのが当店なワケで(笑)
『あ~じゃない こ~じゃない』と私とF様でさらにお打ち合わせを重ね、
出てきたアイデアを実現したのがコチラ。
バーチカルブラインドと北欧の人気柄、ボラスのマラガとのコーディネート。
裾にはシェードに使用するウエイトバーを入れていますが、
通常のものでは厚みがあるので、薄いタイプを指定して『すっきり感』を出しました。
仕上がりサイズは窓に対するバランスとマラガの柄の大きさを考慮して決定。
上部は筒縫いしてグレイス11の正面付ブラケットを使用して固定しています。
昇降はしませんので、出入りに対する問題も慎重にお話を勧めました。
F様はご入居後一か月経っており、
『4枚ガラスの中央からしか出入りしていない』ことが確認できたからこそ
ご提案できたプランです。
この窓の反対に位置するキッチン横の窓には同じマラガのシェードです。
隣に位置するエスニック調のタイルとのバランスが問題となったのですが、
『近いとケンカしてしまうのなら離してしまいましょう』 と、ご提案しました。
価格の高いマラガの使用面積を減らし手頃な無地を合わせることや、
バーチカルブラインドで使用したマラガの残布で生地が足りることで、
価格もお安くなります。
引き締め効果を狙って、マラガの左端にも白を入れましたが、
これもリングテープの縫い付け位置とジョイントが同じになるよう、
寸法を指定しています。
(この位置がずれるとキレイに畳まれないのです)
カーテンプランは、使用するアイテムが決まってから一手間加えることで、
これだけ大きく変えることが出きます。
そしてそれは、決して値段と比例するものではありません。
必要なのはお客様と一緒になって重ねる打ち合わせとアイデアと、
そしてそれを楽しめる心の余裕かもしれません。
『偶然見つけた肉を食う』なんて無謀なことさへしなければ、ね(笑)。