今日はここ最近で私がもっとも苦労したシェードの施工例をご紹介。
まずは完成写真から。
スミノエの人気シリーズ、キャサリン・ハムネットのD4057です。 この生地を初めて見たときから、
『シェードにしずらい生地だな』と 思ってはいたのですが、今回は本当に悩みました。
上の写真を見ても 『どこが?』 と思うかもしれませんが(笑)。
今回の現場は縦長のスリット窓が2連になっていて、 巾1015mmのカーテンボックスが付いています。 もし普通にメーカーに発注するのなら
(当店は提携工場で縫製しているのでそういう発注はしませんが)
品番とサイズを書いてFAXを流せば良い訳です。 しかし、それでは大きな問題が起こります。
カーテンボックスに合わせて1000mm前後の仕上がり巾にしたいのですが、 下の写真のように柄を3列キレイに入れようとすると、 その寸法をオーバーしてしまうのです。(1060mmあり、カーテンボックスに入らない)
かと言って両端を切ってしまっては、この柄が死んでしまいます。 ボックス巾を無視して2列の仕上がりにすると、
今度は窓巾より小さくなってしまいます。
さて、恒例の 『苦悩の時間』 のスタートです(苦笑)
まず考えたのは、2列にして色の合う無地を両脇に足してはどうか? 全てのカタログを引っ張り出して1時間…『合う生地がない!』(涙) では全然違う生地(ストライプなど)を足したらどうか…『ない』(大粒の涙) カーテンとシェードを全く違う生地にしたらどうか…『ない』(号泣) では、ブラインドはどうか…日を改めてお客様にご相談。 『ブラインドはいやだな~』 『ですよね~』(ここで涙枯れる)
で、閉店後にもう一度生地を広げて見てみる。
ん?お?これ…もしかして…
柄の間にある縦線の内、右だけ2本あるのを
1本にしたら…
1000ミリ~~~~~~~~!!! 1000ミリ!1000ミリ!1000ミリ!1000ミリ! そりゃもう、街は大騒ぎ(笑)。 今になれば『何でこんなこと気付かなかったの?』とも思うのですが、 まるで騙し絵と同じで、そんな見方が出来ない時はいくら見てもダメなんですね。 あとはキレイに仕上げるだけ。
この寸法ではリングテープが3本(両端と中央)の仕様の為、 カットしてはぎ合わせた部分とずれてしまいます。 それではその部分がキレイに畳まれないのでリングテープを1本増やし、 両端、右の縦線部分(はぎ合わせの位置)、左の縦線部分の 計4本の仕様にしてあります。 もちろん、畳み込まれる位置は柄の下端(写真右)。 後入れフックを使い、どの箇所でもこの位置で畳まれるようにしています。
この仕様を決定し発注書を書ける段階になるまで何時間も悩み、 休日に東京の加工所へ出向いて裁断位置を確認し、 やっと一台のシェードを作ることが出来ました。
商売として見れば明らかに赤字です。 一言で言えば『功労賞やるから始末書書け』ってところでしょうか?(苦笑)