カーテンの仕事には、
1)生地の組合せを決めるプランニング
2)寸法等を確認する採寸
3)取り付け工事
という大きく分けて3つの作業が必要となります。
一般的に、お客様が最も重要視するのはプランニングです。
見積もりを取ったり、提案力を確認したりと店選びの大きな要因になるからです。
その次が取り付け工事でしょうか?
採寸は『寸法を採るだけ』という誤解があり、
重要度は3番目に思われていかもしれません。
しかし私たちカーテン屋にとっては非常に重要な作業です。
採寸次第で商品がきれいに納まるのか否かが決まるからです。
本日お納めしたI様の現場です。
まずはリビング。
一間半の掃出し窓にクラシック柄のドレープとトルコ製エンブロイダリーの組合せ。
レールは木製レールを使用しました。
通常(天井高240cm・サッシ内寸200cm)の場合、
当店では窓枠より10cm上をカン下にしています。
これはカーテンの山部分が窓枠より上にきた方がきれいな為です。
逆にあまり高いと一体感がなくなります。
今回は天井高260cmで窓巾も大きい為、18cm上をカン下にしました。
採寸時に窓の寸法だけではなく天井高を確認し、
プランニング時にお話しした『通常の位置』では少し低いことをお話しして、
実際に吊りサンプルを窓に当てながら、I様と相談の上決定しました。
2Fの子供部屋です。
左側のベランダ窓はクローゼットと干渉しているので、
通常の取り付け位置では扉が当たってしまい完全に開かなくなります。
最近良くあるケースです。
その場合レールを扉より上の位置に取り付けますが、
今回はL型ブラケットを使っています。
カーテンの山部分にはアジャスターフックが入っていますが、
これが扉に当たる位置ではあまり意味がないからです。
硬いアジャスターフックは扉に押されても『ふにゃっ』とならず、
扉は十分に開きませんし、カーテンの山部分がとってもお辞儀します。
その為当店では、
『クローゼットの扉がドレープのアジャスターフックより下にくる位置』
をオススメしています。
今回L型ブラケットを使用したのは、
通常のダブルブラケットではこの寸法が確保できない為です。
これも採寸時に確認し、I様と相談の上決定した取り付け方法です。
3つ目は出窓です。
普通に機能性レールと出窓用カーブレールをつけているように見えますが…
通常のブラケットより壁からの出幅が1cm長いロングブラケットを使っています。
出窓は窓台のチリ(出っ張り)が多く、
通常のブラケットではそこにカーテンが乗っかる感じになるためです。
1cmの差では完全に解消はしませんが、確実に印象は違います。
窓台のチリは採寸時に確認しなければならない重要事項です。
最後は間仕切りに使った縦型ブラインドです。
『下地は入れてくれてたような気がする』というお客様の言葉でしたが、
お引渡し前の為、採寸時に針を刺してチェックは出来ません。
通常、野縁(天井の桟)は家の長手方向と平行に入っているので、
『野縁と直角に打つのでおそらく大丈夫ですが、両端がアンカーになるかもしれません。
ブラケットを増やして荷重を分散させましょう』
とお話ししました。
と、実はこれは店でのプランニング時のお話し。
実際には下地があり問題ありませんでした。
現場で確認したのが下の写真です。
付いていたのが化粧の廻り縁です。
『普通の廻り縁より出っ張りが多い分、隙間が気になるかもしれません』
とお話しし、ご了解を頂きました。
実際取り付けてみるとあまり気にならず私もI様も一安心でしたが、
『結果オーライ』というワケにはいかないのがカーテン工事です。
採寸時にはこういった点の確認も必要です。
I様の現場ではこの他にも、
図面では分からなかった点を採寸時に確認し、
取り付け位置や方法をご相談した窓がいくつかありました。
全て無事に工事も終わり、
I様から『サイトーさん!いっぱい宣伝しとくからね!』と言って頂きました。
ありがとうございます!
採寸は、プランニング、取り付け工事の次に来る3番目に重要な作業ではありません。
ここにカーテン屋のウデの見せ所が隠されています。
そして、こういう仕事が出来た日の第3のビールは最高です(笑)