大阪の問屋さんとの商談の翌日、
京都の川島織物セルコン市原工場を見学しました。
filoの発売後にわかに脚光を集めていますが、
何年も前からどうしても行きたいと思っていた場所でした。
まさに念願叶っての訪問です。
(なぜ訪問を熱望していたのかは、次の機会に書きたいと思います)
市原工場は京都から地下鉄とタクシーで1時間ほど北に行った所にあります。
当日は雨上がりのせいか、すぐ近くにそびえる小高い山々に霧がかかっていました。
応対してくれた方に、『なぜこの場所に工場を建てたのですか?』と伺ったところ、
この霧がかかりやすい環境が良いとのことでした。
繊維にとって乾燥は大敵で、ピリング(簡単に言うと毛玉)が出来やすいそうです。
市原工場の近くには鴨川の源流が流れており、そのすぐ近くには山がそびえます。
それが繊維製作に適した湿気を生み、
川の水を浄化して使うこともできるので一石二鳥ということでした。
帰りのタクシーから撮ったので、何が何だか分からない写真ですが、
上の写真の道の奥が工場です。
さて本題の工場内部ですが、もちろん撮影不可なので、
想像力をフルに働かせて読んで下さい(笑)
製造工程を追いながら見たのですが、まずは繊維が届くところから。
繊維メーカーから来る糸は輸送コストの関係上、
少しでも多くの糸が巻けるようキツク巻かれているそうです。
それを適度にフワッとした状態に巻き直すところから工程は始まります。
その糸を直径1m位、高さ1m位の釜に入れ、
コンピューターで制御された染機に入れます。
染める原料は色の3原色(C・M・Y)の組み合わせなのですが、
蛍光灯や自然光などの光の種類で違った色に見えることが極力ないように、
工夫されているとのことでした。
次は整径(という言葉だったと思う)作業です。
ここで糸の張り具合を間違えると、仕上がりに不具合が生じたりすることもあり、
担当の方は見学者の私など目に入らないような集中度で仕事をされていました。
もし私が働いていたら、『こんにちわー。どちらからですか?え?厚木?遠い所から大変ですねー。
実は私の嫁の兄の恩師のイトコのハトコの友人の勤務先の上司が、
昔一度出張で行ったことがあるんですよー』 なんて言ってしまいそうですが、
間違いなくクビでしょう(笑)
さて、いよいよ織機の出番です。
天井から下がる無数の糸が途中、交差しながら織機に吸い込まれ、
ガチャガチャと大きな音を立てながらカーテンが織られていく光景は感動モノです。
ここではfiloの約20%が製作されているそうですが、
1mを織るのに約1時間もかかるそうです。
最後は出来上がった生地のチェックです。
設計図を書く時に使うような斜めになった台に生地を載せ、
光を当てながら人間の目で慎重に確認していき、
問題が無ければ無事、カーテンの反の出来上がりです。
こうして工場を拝見すると、『物の価値』というものを改めて考えさせられます。
そして、この工場の前段階にあるデザイン・織設計、後段階にある縫製を含め、
多くの人の手を経た商品を販売するという責任の重さを感じました。
次回は、市原工場の後に訪れた当店提携の形状記憶加工場の訪問記です。
*上記の内容は私の記憶を頼りに書いています。
内容に記憶違いがあることも考えられますのでご理解ください。
また、急な日程変更にもかかわらず丁寧に応対してくださった職員の皆様、
本当にありがとうございました。