あれは確か4・5年前のことでしょうか?
ブラインドの修理依頼があり、ある動物病院に伺いました。
受付で看護士さん(と言うのでしょうか?)に用件を伝えると、
案内して頂いたのは6帖ほどの何もない部屋。
いや、確かに無機物は何もありませんでしたが犬が一匹いました。
首の周りにプラスチックのカバーみたいのを付けた大きなシベリアンハスキーが…。
『ブラインドの羽根が噛まれてガチガチになっちゃんですよ~』
『そうなんですか~。それで、どんな動物ですか?』
『このシベリアンハスキーなんですけどね』
『は?』
『じゃあ見てもらって、終わったら受付に来て下さい』
『いや、ちょっと待って下さい!この犬なんですよね?』
『えぇ。でも大丈夫ですよ。何もしないから』
『いやいや。明らかに何もしてなくないですよ。だってブラインドがグチャグチャに…』
『ハハハ。昨日はちょっとオイタが過ぎちゃったんですよね~』
『はぁ?』
『犬、苦手ですか?』
『いやいや、苦手って問題じゃなくて…』
『じゃあよろしく~』
そして部屋には2人(正確には一人と一匹)きり。
犬を越えて行かないとブラインドは見れない。
右手を上げてみる。
無視。
右足を一歩出してみる。
見る。めっちゃ見る。昨晩ブラインドを噛んだ時もこんな目だったんだろうか?。
5分経過。
『すいませ~ん!やっぱり無理です!』
あの時の、『この根性無しが』と言わんばかりの看護士さんの目を
私は一生忘れません(笑)。
さて、今日はそんな私の苦労をしっかりと覚えてくださり、
自宅マンションのカーテンを依頼してくださった優し~い先生の現場です。
(前置き長っ!)
まさにそのお仕事に相応しく、
『動物の庭』を意味するボラスの『ユートラドゴッド』を選ばれました。
赤、青、緑をふんだんに使った色使いが特徴の生地で、
特に赤で描かれた蝶々が目を引くのですが、
よ~く見ると色々な動物が描かれています。
鹿、トカゲ、白鳥、鷲、キツネ、カエル、ウサギ…。
春の息吹と共に湧き出す動物たちのエネルギーを感じさせます。
寝室はガラッと印象を変えてシックな逆吊りに。
(まだ照明がなく、写真がイマイチですいません)
こちらはレースの柄出しにこだわりました。
レースの場合、上部と裾は折り返しになるので柄の印象は薄まります。
(=どんな柄か分かりにくくなる)
そこで芯地の下から柄が始まり、折り返しの上で終わる位置で指定しました。
写真左が上部。右が裾になります。
もちろん、柄の寸法を変えることはできません。
仕上がり寸法がちょうどその間に入ることを確認しての指定です。
お陰さまで先生にも大変喜んでいただき、
『あ、そうだ!今度病院も見てくれる?』とお声掛け頂きました。
先生、まさか動物が破壊した商品の修理じゃないですよね(笑)