前回のバルーンシェードの続きです。
まずはもう一度施工前の写真から。
この窓(3方クロス巻き込み)は内寸が2262mm。
窓の右側は22mmの壁があり入隅になっています。
バルーンシェードを作る場合、
レースは内寸から-12mmして2250mmの仕上がり巾にすると、
1スワッグは約560mmとなります。
ドレープは右+20mm、左+48mmして2330mmにすると
1スワッグは約580mmです。
この時、窓の左側から見ると、
ドレープは窓の左から532mmの所にスワッグの切れ目が来ます。
レースは片側6mm開けているので約566mmの所に切れ目が来ます。
その時点でスワッグの切れ目が34mmずれてしまうのです。
バルーンシェードの切れ目が手前と奥でずれているのですから、
見た目上、大きな問題になります。
このズレを解消すべく、ドレープとレースの仕上がり巾、
そしてそのその分け方を何パターンも考えました。
最終的に決まったのは
ドレープの仕上がり巾は231㎝。
スワッグの寸法は左から58cm・58cm・57㎝・58cm。
レースの仕上がり巾は225㎝。
スワッグの寸法は左から55㎝・57㎝・57㎝・56㎝です。
この寸法での誤差は左から
6mm後幕が右⇒4mm後幕が左⇒4mm後幕が左⇒2mm後幕が右、です。
お次はこちら。
3連窓の端~端までは1655mm。
先程の横長窓のドレープは左側を30mmプラスしています。
それに合わせて1655+30+30=1715⇒1720mmで発注すると、
1スワッグは約570mm…すると問題が起こるのです。
1つの窓の巾は433mmで窓間の壁面は177mmあるのですが、
この寸法では窓間の壁の中央より18.5mmずれてしまうのです。
そこで窓間の壁の半分を左右に足した寸法を1スワッグにしました。
窓からの出し分は横長窓と50mmほど違ってしまいますが、
切れ目が窓間の中央とずれるよりはキレイという判断です。
横長窓のバルーンが1スワッグ57~58㎝ですので、
バランス的にも悪くありません。
丈は全て2ピッチ分長く作っています。
内寸通りに丈を作ると、生地の重なりができず貧相に見える為です。
バルーンシェードを降ろしきった状態で使うことはまずありませんので、
I様とご相談の上、見た目を重視しました。
最後はこちら。
このバルーンシェードと格闘?している時に
たまたま別件でお話しをしていたあるお方から頂いた、
巾の小さなバルーンを少しでも内寄りさせないための裏技。
ウエイトのダブル付けです。これ、かなり効果がありました。
お客様からご希望をお聞きしてから、
長い時間とプロセスを経て1部屋分のプランが決りました。
もしかしたら最初からI様のご希望通りバルーンでお話を進めて、
普通に生地を選んでそのまま発注しても、
何の問題も起きなかったかもしれません。
でも、ごく普通のプランの中に『お客様が私に頼んだ意味』を
どれだけ盛り込めるかが重要だと思っています。
今回は本当に大変でしたが、
I様から『サイトーさんに頼んで良かった』と言って頂きました。
全てが報われる瞬間です。
では最後にもう一度、完成写真を。
ダメだ…涙で見えない(笑)