翌日は、明らかに昨日の覇気ある顔を失ったOさんと(笑)
まずは朝食を取りに中部地区名物の喫茶店へ。
聞いてはいたが…隣のオバチャンがパンに小豆乗っけて食べてる! サスガです。
朝食後まず向かったのはOさんの提携加工所。
シェードの加工所としてはレベルの高い仕事で有名です。
こちらも『出張記』お決まりの写真無し、詳しい話無しです(笑)。
そしてお次は今回の出張で私が最大の目的としていた事をしに、
当店の提携加工所である岐阜県関市のカーテン加工所『アートK』様へ。
こちらは日本を代表するカーテン・スタイリストさんが集まったグループ、
『スタイリング・プロ』のメンバーでもあり、
縫製に非常にこだわる専門店さんが絶大な信頼を寄せる加工所です。
ここで何をするかと言うと…カーテンを作る!
これまで何度か加工所を見学したことはありましたが、
裁断から梱包までの一連の作業を自分で経験してみたかったのです。
下の写真の左側が後藤様。右の寝癖男が私。
突如、掌に舞い降りた妖精を二人で見つめているところです。
………嘘です(笑)。
加工所様の様子や使われている機械と言うのは、
私では重要度が分かり難い点もありますので、こちらも写真は控えます。
まずは裁断。
廃番の花柄を使用しましたが、問題なのは『どこで切るか』です。
その生地に散りばめられた花を綺麗に見せる位置を決めなければいけません。
時々私も柄位置を指定して縫製依頼をしますが、非常に悩みます。
センスの問われる作業と言えるかも知れません。
その後は裾を縫い、丈出しをして、芯地を入れて上部を縫い、
ウエイトバーを入れて耳を縫いと続いているのですが、
これがもう本当に大変なんです。
加工所のスタッフさんがテキパキとスピーディに縫製していると
簡単そうに見えるのですが、
全く出来ないんです! もう悲しい位に出来ないんです!
この時点で白状しちゃいますが、
90cm×200cmの片開きカーテンを完成するのに私がかかった時間は何と、4時間です!
誰ですか!『納期短縮出来ないの?』なんて言ってるのは!
丈出しなんて、引っ張り具合が少し違うだけで全然寸法が 変っちゃうし(涙)。
これ、客注分だったら私絶対やりません。
ちなみに下の写真は作業途中の私。
軽口を言う余裕が全く感じられません(笑)
やっとこさ、縫い目が曲がりまくったカーテンを自動ヒダ取り機に入れたのですが、
ここでもまた驚くことになります。
これは縫製段階から感じていたことですが、
機械が主役になった現在の縫製業界で、
一般的な2倍ヒダのカーテンを作るのに、
人間の手によるこだわりをこれだけ多く入れられるとは思っていませんでした。
もちろん詳しい内容は言えませんが。
当然、このヒダ取りもそう。
『自動』という言葉に惑わされて、
その奥深さを知ろうとしなかったことを反省しました。
最後は形態安定機に入れて完成です。
冗談ではなく、感動します。
帰り際、一緒に体験したOさんと二人で、
コンビニでピザまんを食べながら言葉少なに反省しました(笑)
例えば私たち小売店がお客様にカーテンを届けた際、
お褒めの言葉を頂くことがあります。
それが活力となって少しでも良いプランをと思うわけですが、
お客様と直接顔を会わすことのない加工所さんの場合、
そうした機会はまずありません。
でも、そうした中で高い技術とこだわりを持って作ってくださる方がいるからこそ、
私たちはお客様から 『ありがとう!』 と言ってもらえるのです。
そうした人の気持ちも含めて納品しないといけないのです。
そんな当たり前のことを知っているつもりでいながら、
全然分かっていなかったなと痛感しました。
そして、もう一度書かせていただきますが、
ごくごく普通のオーダーカーテンを作るにあたり、
加工所のこだわりがこれだけ多く盛り込めるのだということを
忘れずにいたいと思います。
ご協力頂いたアートK様、本当にありがとうございました。