幅の広い窓のカーテンを考える時、
誰もが悩むのが『柄や色によってうるさくならないか』ということ。
もちろん私たちがプランニングをする時も、この点は非常に慎重に考えます。
ただちょっと違うのは、シンプルであれば良いとは考えていない事です。
無地のカーテンは部屋の奥行き感を無くし、圧迫感を出してしまいます。
家を建てた時に多くの方が経験することですが、
建前直後の構造の時より、壁が出来た時の方が部屋は広く感じます。
カーテンを掛けると、また少し広く感じます。
奥行き感が出ることで、部屋を広く感じさせるからです。
シンプル過ぎるカーテンは四方を壁で囲まれている感覚を与えてしまうので、
逆に圧迫感が出てしまうのです。
なので私たちが広い窓のプランを考える時は、
『色や柄を出しても問題ない境界線はどこか』となります。
W様のマンションでは、こうしたことを踏まえてフロントレースをお勧めしました。
レースを手前に持ってくることで、ドレープとの間に空間が出来、
それが奥行き感を与えます。
ドレープと違って柄が手前に出てくる感覚もありませんので、
こうした広い窓でも柄を楽しむことが出来ます。
腰高窓はダブルシェードにしました。
伸びやかな草木を描いた大きな柄ですので、
この四角の中にどのように柄を落とし込むとキレイかを、
サンプルを使って事前に確認し、
加工所さんに写真付きで指示を出して製作しています。
このお部屋にこの生地をお勧めしたのは、
W様がナチュラルモダンのお部屋を希望されていたからなのですが、
実はもう1つ、大きな理由があります。
スリガラスのベランダの壁の向こうに見える、大きな木。
W様はこの木が見える位置を計算して、このお部屋に決められたそうです。
今回ご採用頂いたレースは、総柄なのですが中間が無地になっています。
そしてそこからはあの大木を見ることが出来ます。
伸びやかな草木柄に挟まれた大木。
そんな、景色とカーテンが一体となった空間を作りたかったのです。
お蔭様でW様にもとても喜んで頂くことが出来ました。
W様、ありがとうございました。