王将戦観戦記

ブログを再開するにあたり、
掲載写真を大きくしたり欄外にカテゴリー枠を設けたのですが、
ちょっとマズイことに気付きました。
この投稿前の時点で
施工例の投稿数が34、レールが18、そしてプライベートも18。
マズイ…
このままではカーテンブログ初の
『プライベートが施工例を追い抜くブログ』になってしまう…。

そんな心配(本当にしてるのか?)を余所に王将戦観戦記です。
場所は私のお得意様である陣屋旅館。
数々の名勝負の舞台となった『将棋の聖地』とも言える場所です。

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正面入口から玄関へと続く小道。
その両脇の自然豊かな庭園と雑木林は、
宮崎駿監督のアニメのイメージにもなっています。
(オーナーの宮崎氏は親戚であり、ここは監督の疎開先でもあったのです)

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写真の左側(写っていませんが)にはレストランの『源氏館』があります。
ここにはロールスクリーン13台とカリモクの椅子に特注でサンゲツの
張地を張った椅子36脚を納めさせていただきました。
真っ直ぐ手前側に進むと本館です。
こちらには客室のプリーツスクリーン、浴室用ブラインドなどを納めていますが、
下の写真のような内装工事もやらせて頂きました。

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元々和室だった場所を会合などで使えるよう、
畳を外して根太を組みコンパネを貼ってじゅうたんに。
右側のガラスにはガラスフィルムを張りました。
スタッキングの椅子も納めさせて頂いております。

今回大盤解説の場所となったのは竹河の間。
最高級室である『松風』での対局の状況がテレビ中継され、
プロ棋士が大盤で状況を解説したり、今後の展開を予想していきます。
左に見えるワーロンを貼った障子とプリーツスクリーン
(畳まれているので見えにくいですが)も当店の施工です。

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さて肝心の対局ですが、羽生王将 対 久保棋王という好対局で、
『棋史に残る名勝負』と解説者が唸るほどの素晴らしい内容でした。
中盤になり、解説者の滝七段、立会い人の行方八段、
そして会場に集まった全ての将棋ファンが
『羽生は香車を打つのが当然』というシーンがありました。
でも、羽生が打ったのは桂馬。
何故?
誰もその意味が分かりません。
皆で今後の展開を何パターンも読んでも、桂馬の必然性が出てきません。
結局桂馬打ちは謎のまま一時間以上が過ぎました。

そして展開は大きく変り
『羽生は詰ませることが出来るのでは?』という状況になります。
再度、解説者が詰み筋を読んでいきます。
するとそこには…
あの時打たなかった香車が、絶対必要な駒として登場するのです。
会場からは『羽生はこの展開を読んでいたのか!!』とあちこちから声があがります。
私も鳥肌が立ちました。

その後形勢は逆転。
羽生は追い詰められ、最後の詰み筋に望みを掛けます。
角で王手。久保棋王の持ち駒は桂馬と銀。
どちらを打っても羽生は角で取り、さらに王手という状況です。
そして久保棋王が打ったのは…銀!
何故?
またもや全員意味が分かりません。
普通、合い駒は弱いものから打つのが当たり前だからです。
その数十分後… その展開を読んでいくと、
驚くことに『あそこで桂馬を打つと詰む』ことが判明します。
会場から大きなどよめきが起きます。
これまで時折冗談を交えて解説していた行方八段の目が一気に真剣になり、
ものすごいスピードで大盤の駒を動かしながら、この名勝負の結末を読んでいきます。
『棋史に残る名勝負』『まさに陣屋事件』という言葉が何度も出てきました。
そしてついに、羽生詰め切れずに投了!
5時間があっという間のとても幸せな時間でした。

翌日、頼まれていた座鏡を届けに対局の場となった『松風の間』を訪れました。

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昨日の名残が少し残った部屋に入ると、自然と背筋が伸びます。
この場所の障子も私が担当させて頂きましたが、
これがいかに光栄なことか改めて痛感しました。
庭では新王将となった久保棋王が写真撮影をしています。
声を掛けたかったのですが、私の大事なお得意様のお客様です。
そんなことは出来ません。
違う場所で会えば『秋葉原にいるオタク青年』のような風貌ですが、
最高に格好良く見えました。

実は、私が将棋好きであることは陣屋様には言わずにいたのですが、
今回たまたま王将戦の当日に仕事の件でお会いしてそんな話になり、
たまたま私が休みだったことから、招待して頂きました。
帰り際、オーナーから一言。
『これで少しはサイトーさんに恩返し出来たかな?』
こんな言葉を掛けて下さる方なので、私は陣屋様の為に頑張れるのです。

窓際のサイトー について

厚木市のオーダーカーテン専門店+PLAN(プラスプラン)オーナーの斉藤です。単なる生地の組み合わせではない、専門店ならではのプランニングをご提供します。ブログでは、そんな私とスタッフの日々の仕事ぶりを綴っています。
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