シタニミルナヨ!

伊集院静さん(小説家・故夏目雅子さんのご主人)のエッセーが好きで、
よく読んでいました。『文壇最後の無頼派』と呼ばれる伊集院氏らしい、
ギャンブルと酒場の話がメインの破天荒な日々が綴られています。
その中で黒鉄ヒロシさんが度々登場するのですが、
忘れられないエピソードがあります。

ある酒場での話。
ある人が『くだらないこと』を例えて『そりゃ漫画だな』と言った途端、
同席していた黒鉄氏は烈火の如く怒ったそうです。
その時は温厚な黒鉄氏の意外な一面を見た印象しかありませんでしたが、
今はその気持ちがとても良く分かります。

先日カーテンの納品に伺った現場で、
『またか!』と思わせるケースがありました。
リフォームをされたお宅でレールはリフォーム業者さんが付けたのですが、
付け方が間違えているんです。
実は、こういったケースは珍しくありません。
専門の職人ではなく、大工さんや内装(クロス)屋さんがレールを付けるからです。
最も多いのは2パターンあります。
一つは下の写真。

レール1

 

 

 

 

 

装飾レールとセットで付ける機能性レールの長さ間違い。
本来は装飾レールのブラケットの外側~外側で機能性レールの長さを合わせますが、
写真のようにポールの長さに合わせてしまうケースです。
これの何が問題なのか?
カーテンを架けると一目瞭然です。
レースが厚地の横からはみ出してしまうのです(=写真下)

レール2

 

 

 

 

 

もう一つは、装飾レールのスライド式ブラケットが伸ばされていないケース。
機能性レールとのダブル付けの時はブラケットを手前にスライドさせ、
レール間に適切な隙間を作らなければなりません。
そうしないとカーテン同士が当たってしまい、
ドレープを引くとレースも一緒に動いてしまう(もしくはその逆)のです。

レール3

 

《誤った付け方》

 

 

 

 

レール4

 

《正しい付け方》 *装飾レールのブラケットを手前にスライドさせている

 

 

 

写真で使用したローレットは、キャップがレールに被る長さが多いのですが、
それに気付かずカットしていまい、ポールがやけに短いケースも見かけます。
その他にもレールが窓巾や入隅に合わせてカットされていない、
カーブレールをベンダー無しで曲げてしまい変形しているなどのケースもあります。
私たちカーテン屋にとって、
お客様から『レールは大工さんがつけてくれるんです』と言われることは、
非常に怖い言葉なのです。

誤った付け方をする人のほとんどは、
『レールなんてビス打って止めときゃいいんでしょ』という考えなのです。
私たちカーテン屋が、使用する生地や天井高・レールの種類など
様々な内容を考慮して取付位置を決め、
専門の職人がレールごとの特徴に注意しながら取り付けていることなど知らないのでしょう。
『そりゃ漫画だな』と言った人同様、カーテン工事を下に見ているのです。
カーテンヤヲナメルナヨ!

窓際のサイトー について

厚木市のオーダーカーテン専門店+PLAN(プラスプラン)オーナーの斉藤です。単なる生地の組み合わせではない、専門店ならではのプランニングをご提供します。ブログでは、そんな私とスタッフの日々の仕事ぶりを綴っています。
カテゴリー: カーテンレール, 取付工事 パーマリンク