シンプルって難しい

カーテン屋を困らせる言葉の一つに『シンプル』があります。
なぜかと言うと、『シンプル』と言う言葉は味覚表現と同じで、
人によって感覚が異なるからです。
食品業界には『甘さ』を区別する為、
数年前に『糖度』という言葉が導入されましたが、
『シンプル度』を数値化することは難しいでしょう。

もし窓装飾に限って考えるのなら、『生地の色柄×装飾方法』かもしれません。
生地の場合は
無地→エンボス柄→ストライプ・幾何学柄→同系色の柄物→多色の柄物
という順番でしょうか。
装飾方法の場合は 吊り元(ハトメ・タブトップなど)やボーダーなどのドレープの演出方法や、
レールや房掛け、レースとの組み合わせなどが考慮の対象になると思います。

では、無地のカーテンに無地のレースをかけた状態が最もシンプルなのか?
と聞かれれば、そうでもないような気がします。
『素材を活かしたシンプルな料理』が生の素材を何もつけずに食べる料理ではないように、
『シンプルな窓装飾』という言葉にも、もっと幅があるような気がするのです。

さて、前回ご紹介したSさんのダイニングをご紹介します。
ナチュラルモダンな仕上がりの空間に縦長の窓が一つだけという窓構成もあり、
『シンプルにまとめたい』というご要望でした。
すぐに浮かんだのが下の生地です。

FA1075

 

 

 

 

 

 

 

フジエテキスタイルのリノンという生地で、
麻の風合いが豊かなイタリア製の生地です。
実は廃番なのですが、店に戻ってすぐに在庫確認して必要分を確保しました。
打ち合わせ当日、『シンプルの範囲を超えているかな?』と少し緊張しながら
『この生地をこんな風に仕上げたらどうかなと思ったんですが…いかがです?』 とご提案すると、
『合いそう!』と2つ返事でOKを頂きました。

S邸ダイニングS邸ダイニング2

 

 

 

 

 

 

 

NE45

 

 

 

 

 

 

 

存在感を出す為、約2倍ヒダにした片開きのカーテンに
レールはヨコタのファインデリッシュという組み合わせ。
エアコン等の関係は無いのですが、ギボシはプレーンにしてあります。
タッセルはトーソーのNE45です。
『シンプル』がご要望でしたので、シェードも頭をよぎりました。
そもそもナチュラル系のロールスクリーンから選んでいただくのが、
最も良い方法なのかな?とも思いました。
でもそうしなかったのは、
『それはシンプルじゃなくて、単に面白みのない仕上がりなんじゃないか』 と思ったからです。
いつだって『シンプル』はカーテン屋泣かせです。
それが楽しいのですが…(笑)

窓際のサイトー について

厚木市のオーダーカーテン専門店+PLAN(プラスプラン)オーナーの斉藤です。単なる生地の組み合わせではない、専門店ならではのプランニングをご提供します。ブログでは、そんな私とスタッフの日々の仕事ぶりを綴っています。
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