今日は一手間加えた『逆吊り』の現場のご紹介です。
まずは伊勢原市のS様の現場。
スワロフスキー・クリスタルがあしらわれた
スミノエのオパールレース・D4412と
ベージュのシャンタン調ドレープの組合せです。
少し高めの位置にレールが付いていたので、
発売されたばかりのサイドキャップを後付けしました。
シルバーのキャップがモダンさを引き立たたせることもありますが、
一般的な機能性レールが装飾レールの扱いになるからです。
これにより、手前のレースをAフック(レールが見える仕様)に出来、
逆吊りという手法との相性も良くなります。
また、エレガントさのあるレースであることを考慮して、
逆吊りに多い1ツ山ではなく、
ヒダの感じがキッチリと出る2ツ山で縫製しています。
お次は平塚市のS様の現場。
こちらもスミノエのオパールレース・U3042と
グレーの無地ドレープの組合せです。
こちらは柄がはっきりと出るよう、
フラット感のある1ツ山で縫製しました。
レールが既に付いている一般的なワイドスパンの窓ですが、
こちらはカーテンの仕上がり幅にも注意しました。
マンションで時々あるケースなのですが、
窓の右と左でレールの出幅が違っているのです。
S様の現場では左側は8cm・右側は40cm、窓からレールが出ていました。
これを考慮せず単にレールの長さを測って『両開き』で発注すると、
カーテンと窓の中央がずれてしまうのです。
そこで窓の中央から左右それぞれのレールの端を測り、
異なる仕上がり幅で仕立てています。
最後は平塚市のI様の現場。
こちらもスミノエのオパールレース・D4014と
無地ドレープの組合せです。
こちらも1ツ山の縫製なのですが、
単にフラット感を出したかった訳ではありません。
この生地は横リピート25㎝で、
3ツ山・2倍ヒダで柄出し縫製になっています。
2ツ山で縫製すると柄がずれていく感じが目立つため、
ヒダの浅い1ツ山にすることで、不自然な印象にならないようにしました。
そして両開きの中央はこちらも同じく、
レールの中央ではなく最も目立たない入り隅の位置にしました。
こうした細かな点に配慮してそれが仕上がりに反映されると、
お客様も最高の笑顔で見送って下さいます。
カーテン屋にとって最高の瞬間と言えるかもしれません。
こんな時私は、車に乗り込む瞬間にふと現場を振り返り、
『お客さん、俺で良かったな』と、
西部劇のヒーローのように伏し目がちに一人呟いて、
渋く現場を去るのです。
でも、『サイトーさ~ん!カンバ~ック!』と言われたら、
シェーンとは違い、車を止めて振り返ることにしています。
大抵の場合、現場に脚立を忘れているからです(笑)。