最後にご紹介するのは、お2階にあるもう一つの洋室です。
実はY様のご新居はハウスメーカーのモデルハウスでした。
これまでご紹介してきた壁紙や木製ブラインドも、
ハウスメーカーのコーディネーターさんが選ばれたものです。
Y様もその雰囲気が気に入られて購入されたのですが、
ご提案するプランを考える中で、私にはどうしても気になることがありました。
それは、家全体のインテリアの『硬さ』です。
リビングはモノトーンのモダン、寝室もダークなクラシック、
前回ご紹介した子供部屋もグレー&ネイビーのビンテージです。
奥様のお腹には、もうすぐ生まれてくる赤ちゃんがいます。
『初めての子育てが始まる奥様が心落ち着けるお部屋を、どこかに作れないだろうか』
差し出がましいことですが、そんなことを考えました。
Y様にお聞きすると、今お持ちの家具は北欧風のもので
ご夫婦とも気に入って使われているとのこと。
今回の家には合わないのでどうしようかと思われていたそうです。
洋室の壁紙も北欧風。
そこで、まだ使う予定の無い洋室にその家具を入れて、
セカンドリビングとして使われてはどうだろうと考えました。
ダーク系の色ではちょっと合わない気持ちの時に、ふとリラックスできる空間。
主として子育てをされる奥様に、そういう空間があったらと。
問題は既に付いている木製ブラインドと窓の組み合わせです。
大きい窓に木製ブラインドという硬い素材が使われているので、
小さい窓は柔らかい素材、生地を使いたい。
でも、本来は大きい窓に生地(カーテン)、小さい窓に木製ブラインドの方がバランスが良い組み合わせです。
まずはヒダを取ったカーテンが出来ないかを考え、
何パターンかプランを作ってサンプルを取り、
現場に行ってイメージを見てという作業を2回ほど。
やはり難しいということになり、次はシェードのプランにトライ。
柄物の壁紙に柄物を合わせるのは難しく、かと言って無地ではつまらない…。
という訳でこんな感じに仕上げました。
出来上がってしまえば、無地にトリムを付けただけのシンプルなシェードです。
でもそれは、お客様のお使いになっている家具や、各お部屋のインテリアの構成、
Y様ご夫婦、いえ、ご家族の状況から見たお部屋の役割など、
様々な条件を足していって辿り着いたプランなのです。
そして、インテリアのテクニカルな部分ばかりが注目される今、
『そこに住む方のことを考える』というのは、最も軽視されているような気がします。
本当は、それこそが最も大事なことですよね。