ビブン・セキブン・いい気分

前回のバルーンシェードの続きです。
まずはもう一度施工前の写真から。

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この窓(3方クロス巻き込み)は内寸が2262mm。
窓の右側は22mmの壁があり入隅になっています。
バルーンシェードを作る場合、
レースは内寸から-12mmして2250mmの仕上がり巾にすると、
1スワッグは約560mmとなります。
ドレープは右+20mm、左+48mmして2330mmにすると
1スワッグは約580mmです。

この時、窓の左側から見ると、
ドレープは窓の左から532mmの所にスワッグの切れ目が来ます。
レースは片側6mm開けているので約566mmの所に切れ目が来ます。
その時点でスワッグの切れ目が34mmずれてしまうのです。
バルーンシェードの切れ目が手前と奥でずれているのですから、
見た目上、大きな問題になります。
このズレを解消すべく、ドレープとレースの仕上がり巾、
そしてそのその分け方を何パターンも考えました。

最終的に決まったのは
ドレープの仕上がり巾は231㎝。
スワッグの寸法は左から58cm・58cm・57㎝・58cm。
レースの仕上がり巾は225㎝。
スワッグの寸法は左から55㎝・57㎝・57㎝・56㎝です。
この寸法での誤差は左から
6mm後幕が右⇒4mm後幕が左⇒4mm後幕が左⇒2mm後幕が右、です。

お次はこちら。

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3連窓の端~端までは1655mm。
先程の横長窓のドレープは左側を30mmプラスしています。
それに合わせて1655+30+30=1715⇒1720mmで発注すると、
1スワッグは約570mm…すると問題が起こるのです。
1つの窓の巾は433mmで窓間の壁面は177mmあるのですが、
この寸法では窓間の壁の中央より18.5mmずれてしまうのです。
そこで窓間の壁の半分を左右に足した寸法を1スワッグにしました。
窓からの出し分は横長窓と50mmほど違ってしまいますが、
切れ目が窓間の中央とずれるよりはキレイという判断です。
横長窓のバルーンが1スワッグ57~58㎝ですので、
バランス的にも悪くありません。

丈は全て2ピッチ分長く作っています。
内寸通りに丈を作ると、生地の重なりができず貧相に見える為です。
バルーンシェードを降ろしきった状態で使うことはまずありませんので、
I様とご相談の上、見た目を重視しました。

最後はこちら。

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このバルーンシェードと格闘?している時に
たまたま別件でお話しをしていたあるお方から頂いた、
巾の小さなバルーンを少しでも内寄りさせないための裏技。
ウエイトのダブル付けです。これ、かなり効果がありました。

お客様からご希望をお聞きしてから、
長い時間とプロセスを経て1部屋分のプランが決りました。
もしかしたら最初からI様のご希望通りバルーンでお話を進めて、
普通に生地を選んでそのまま発注しても、
何の問題も起きなかったかもしれません。
でも、ごく普通のプランの中に『お客様が私に頼んだ意味』を
どれだけ盛り込めるかが重要だと思っています。
今回は本当に大変でしたが、
I様から『サイトーさんに頼んで良かった』と言って頂きました。
全てが報われる瞬間です。

では最後にもう一度、完成写真を。

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ダメだ…涙で見えない(笑)

 

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バルーンシェードで延長戦

前回のブログで前田選手の事を書いたところ、同業の方から
『前田選手だけだと前健だと思われますよ』というコメントがありました。
マズイ!ここに改めて書かせていただきますが、
私がファンなのは『孤高の天才』、前田智徳選手です。
イチローが最も憧れたバッターであり、
現中日監督の落合をして『天才は俺じゃない。前田だよ』と言わせる男。
内角低めの厳しいコースを引っ張ってスタンドに入れるその技術、
素人目にも美しい弧を描くバットの軌道、
『武士』と評される野球への姿勢や故障に負けない精神力。
私より年齢は下ですが、憧れの存在です。

さて、『武士』と評される野球選手の前振りの後は、
お姫様系窓装飾の代表格、バルーンシェードのご紹介です(笑)。
まずは取付前の写真から。

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I様のご希望はドレープ、レース共にバルーンシェード。
しかも、『シックで大人っぽい感じにしたい』というご要望です。
しかしバルーンシェードには相性の良くない窓サイズと構成ですし、
シックで大人っぽい仕上がりというのも難問です。
気軽にイメージを投げかけてくれたのだと思うのですが、
私にとっては伊藤智仁のスライダー並の難球でした(笑)。
I様にはその旨申し上げたのですが、
『でもバルーンシェードがいい!』との事(1ストライク!)。
そこで今度は、他の方法で似たイメージに出来ないかと思い、
お時間を頂きラフスケッチを書いてご提案したのですが…
敢え無く却下(2ストライク!)。
そしてここからが例によって私の苦悩の時間です(ちょっとタイム)

まず色は、I様とご相談の上 『深くてカッコイイパープル』 に。
とは言ったものの、これがなかなかナイんです。
やっと探し当てたのがマナトレーディングのソワでした。
本当はもっと柔らかい生地が良いのですが、
I様にもその旨お伝えし色優先としました。
お次はフリル丈。
メーカー縫製では15~17cmが多いのですが、
それでは 『シックで大人っぽい』 イメージにはなりません。
いつものように幕体とフリルもどきを作って試行錯誤した結果、
ドレープは10㎝、レースは9cmとしました。
完成したのがこちらです。

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I様も大満足のクリーンヒットでめでたしめでたし………
ではありません!
実は色やフリル丈よりもっと悩んだことがあるのです。
長くなったので続きは次回に(延長戦突入…笑)。

 

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シンプルで深い一重吊りのお話

色々ゴタゴタはあったようですが、そろそろプロ野球が開幕です。
小さい頃はヤクルトのファンクラブに入っていて、
八重樫の変なバッティングや水谷の見事なグラブさばき、
松岡の切れのあるストレートをフェンス越しに興奮して見ていたものです。
日本人初の4割打者は若松だと信じて疑いませんでした。
殆んどの方には意味不明な文章だと思いますが(笑)
今は球団と言うより選手のファンです。
特に広島の前田選手を応援しています。
北別府の勝利投手を無くしてしまったエラーの後の、あの涙のホームラン。
アキレス腱を切ったまま足を引きずってベースへ走るあの姿…。
今でも時折、youtubeで見てしまいます。
魁皇と並んで、私に勇気をくれるスポーツ選手の一人です。

さて、話は変って今日は一重吊りの現場のご紹介です。
基本的にはドレープとレースという組合せをお勧めしますが、
現場状況や窓構成によってはレースの一重吊りをご提案しています。
特に架け替えのお客様の場合、
『ドレープカーテンは使われてますか?』 とお聞きすると、
『全然使ってないんですよ』 というお答えが意外と多いからです。
念のため使用状況をお聞きするのは、
一重吊りにすることによって不便さが生じないかを確認する為です。

まずはご新築のK様の現場。
今まで住んでらした場所に家を建替えられたお客様です。
全くの同条件ではありませんが、
やはり『ドレープは閉じたことがなかった』 との事でした。
使用したのはスミノエのU3013。
まるで薄い墨で描かれたような大きな草や葉がモチーフの
『大人が使えるシックでナチュラルモダン』 な生地です。

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先採寸で拝見した現場の状況と以前の住宅でのドレープの使用状況、
そしてアイランドキッチンと窓との間の行き来を考えて、一重吊りをお勧めしました。
それぞれのカーテンは両端をキャップストップには止めず、
マグネットランナーを入れて外への出入りがし易いようにしています。

お次はちょっとクラシカルなケースメントの一重吊りです。

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架け替えのお客様で、ドレープは 『ほぼ使っていない』。
家の前は人通りの少ない道路でその先は鉄道という環境です。
『外の景色を楽しむっていう感じはないなあ』 との事でしたので、
ケースメント(ドレープとレースの中間の生地)の一重吊りとなりました。
最後は別のレースと選択を迷われたのですが、
『ほぼ』という言葉と、どっしりしたソファーに負けないボリューム感を考えて、
こちらの生地をお勧めしました。

最後はご新築のT様の現場。
やはり先採寸の際に、外から見られる場所が庭の先の一角だけだったことから
レースの一重吊りをお勧めしました。
ナチュラルモダンな雰囲気に合わせて、
川島織物セルコンのPL7043とウッディレジオスの組合せです。

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写真左に一間半の掃出し窓がありますが、
この反対側にも同じ窓があり、2重吊りではちょっと鬱陶さが出ることも
一重吊りをお勧めした理由です。
テレビの後の滑り出し窓はレースの色をもっと濃くした
無地ブラウンのプレーンシェードにしました。
3方共レースではお部屋にメリハリが付かないこと、
南西に位置しているため、太陽光でテレビが見にくくならないようにするためです。
お引越し後しばらくしてから撮影に伺ったのですが、
『全く不便さはなく、とても満足してます』とおっしゃって頂きました。

カーテンの楽しさは『組合せ』や『デザイン・装飾性』の楽しさだと思いますが、
状況によってはこうした一重吊りも楽しい方法です。
ドレープを使用しない分、ちょっと贅沢な生地も選べます。
ただ、普通にドレープとレースを販売すればまず不便さが生じないことを
分かっていながら、あえてお勧めする訳ですから、
慎重に考えた上でのご提案であっても、ちょっとした勇気も必要です。
だから 『サイトーさん、これ正解!』 なんて言われると、嬉しいものです。
野球に例えるなら、
9回裏ツーアウト満塁で4番に代打を送ってサヨナラ勝ち!
ってところでしょうか(笑)

 

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鳥と私の楽園

今週がヤマだと自分に言い聞かせて早半年。
『第2の家』と化した工事車に乗って、
現場を走り回る日々を過ごしています。
お陰さまで先月末時点で昨年・一昨年より多くのお客様に
ご購入を頂いており、本当にありがたいことです。
私は売上がその店の評価だとは思いませんが、
毎年必ず、昨年よりも高い売上になるよう売場計画を立てています。
毎年店も自分もレベルアップする、スキルアップする取組みをしていなければ、
今の時代は存続すら難しいのが現実だからです。
厳しい時代という捉え方もありますが、私はそうは思いません。
裏を返せば、そういう時代だからこそ店も自分も成長できるのだと思うからです。
私のようにすぐサボる、諦める、流される、それでも 『ま、いっか』 と思う
タイプの人間にとっては、良い時代なのかもしれません(笑)。

さて今日は前回に続き、北欧生地のご紹介。
ログハウスの素朴さをモダンな感じに仕上げたT様の現場です。
ボラスのバードランドとバーチカルブラインドを組合せました。
バーチカルブラインドはニチベイのお手頃価格シリーズ『ポポラ』の
両開き・ミックスルーバー仕様です。
仕上がり幅は全開口の窓のタタミ代や窓の横にあるスイッチとの距離を計算し、
風の影響を受けずスイッチにも被らないようにしています。

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バードランドはちょっとシックなネイビー色。
川のせせらぎや鳥のさえずりが聞こえてきそうな、
見た人を幸せな感じにさせてくれる生地です。
シェードにした場合、多少夜の透け感が気になるので、
T様には夜の見え具合もチェックして頂き、
後幕のレースを少しボリューム感のある生地にすることで
バランスを取っています。

T様がまず気に入られたのが、このバードランドだったのですが、
これを全ての窓に使うにはちょっとウルサイですし、
価格も高くなりますので、家のイメージや窓の特性も考慮して、
バーチカルブラインドを合わせることをご提案しました。

主寝室は当店の均一カーテンからちょっとサイケなプリント生地と、
パープルの無地の組合せ。
あえてシェードではなく1.5倍ヒダ・1ツ山のカーテンにしました。
向かって右の無地のカーテンも2連になっていて、
部屋の角を境に2つの生地で分けることも、
1柄づつを交互に組み合わせることも気軽にできます。

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思い返せば10年前。
私がこの業界に入った頃は、お客様の嗜好も今のように多様ではなく、
カーテン屋も大手メーカーの生地だけで通用する時代でした。
カーテンプランと言えばクラシック柄にボイルを合わせてレールは木製、
その頃出始めた上げ下げ窓や滑り出し窓はシェードにして、
子供部屋にはクロス系メーカーの安いチェック柄や無地を1.5倍で仕立てる、
なんてパターンが殆んどだったように思います。
今こうして日本の機屋・産元の生地から世界の生地までをご提供できるようになり、
10年前の自分では考えられなかったプランがご提案できるようになったのも、
この『厳しい時代』のお陰かもしれません。

建築業界は震災による供給不能状態が続き、
今後は『さらに厳しい時代』が予想されますが、
それが過ぎ去った後で 『あの時代のお陰だな』 と思えるように
頑張っていきたいと思います。
とは言っても、月休2日と化した平日休みと月100時間の残業については
『ちょっと厳し過ぎるかな』と泣きが入ってもいるのですが(苦笑)

 

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最先端の選び方

今日ご紹介するのはと~っても珍しいお客様。
何と…ブログをご覧頂いてのご来店でした。
私がブログを始めたときから、
ネットで検索してお店を探している人がいる、という噂は耳にしていたのですが、
こうして実際にそのようなお客様とお会いすると本当にビックリです(笑)。
私のブログは当店の販促物でもご紹介していませんし、
メーカーの営業さんや家族にも言っていません。
特に理由があるわけではなく、
言いそびれてそのままにしているだけなのですが。
でも、こうして自分の仕事を見て頂いた上で
カーテンのご注文を下さるというのは励みになります。

さて、そんな鉄のカーテンを潜り抜けて(笑)当店に行き着いたM様が
選ばれたのはボラスのフォグリングストゥール。
このスウェーデン製の綿生地をセパレートのシェードに仕立てました。
柄の位置はM様と相談しながら決めています。

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窓の向こうは雑木林になっていて、
日中でも外から見られる環境でない為、ダブルタイプにはしていません。
ちなみにシェードを開けた景色も、まるで生地の続きのようです。

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このダイニングと続き間になっている畳み敷きのリビングには、
ニチベイさんのバンブーブラインドをセレクト。

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ナチュラル感たっぷりの空間にぴったりで、
出来上がってみれば『これしかない!』と言える程の仕上がりなのですが、
実は5つのプランから悩みに悩んでの決定でした。
最終的にこの組合せとなった要素は、
『どの生地がかかっているお部屋が最も心地良いか』でした。
帰り際に頂いた焼き菓子のように自然で素朴な味わいのお部屋。
M様ご夫婦が暮らしている様が浮かぶような空間になりました。
ちなみに東林間にあるその焼き菓子店、かなりの有名店でした。
夕方には売り切れが続出するというのも頷ける美味しさです。
お知りになりたい方は是非、ネットで検索してみて下さい。
あまり人には教えたくないのですが、
ネットで検索すると良い店の情報が入手できるんですよ(笑)

 

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レディーの条件

前回のブログでお約束した通り、近日中のアップです(苦笑)
地震後、実家(歩いて5分)で一人暮らしの母が心配なので里帰りしています。
パソコンが見れない以外、特に不便はないのですが、
姉まで里帰りしているので、大変なのが女性3人への対応です。
とにかく、『家に居る間ずっと誰かから注意されている』状態なのです。
『タバコを吸うな』『犬の散歩!』『小銭を入れたまま洗濯物を出すな』…
直接言われる分にはまだマシなのですが、
『犬に向かって幼児語で嫌味を言う』という技は何とかならないでしょうか?(笑)

さて話を戻して、今日は前々回にご紹介したM様の現場です。
サイトー家と違って、とても優しくキュートな3世代の女性がお住まいです。
まずは若いおばあちゃんのお部屋。
フロッキー加工と張りのある独特の質感が特徴的な
マナトレーディングのフィオナを選ばれました。

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照明とのマッチングはもちろん考慮の上。
クラシカルでセクシー、でもちゃんと上品な仕上がりのお部屋になりました。

お次はお嬢様の住む2階のリビング。
スミノエのキャサリン・ハムネットのシリーズからD4045です。
カーテンには手を加えず、タッセルに一工夫しました。

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裾に縫い付けたのはトーソーのガラス風トリムBTAのブラック。
この生地の持つセクシーさを強調する為、
あえて装飾タッセルではない方法を採りました。
デザイン的にはBTBが良かったのですが、
そちらはビーズが全てブラックでしたのでBTAとなりました。
と言っても、このブラックはご購入予定の照明とのマッチングを
考慮してのプランです。

最後はかわいいお孫さんの住む子供部屋。
負けじとカワイイ、トゥインクルトゥでカーテンとシェードの組合せです。

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こちらも前々回のブログでご紹介したキャサリンハムネット同様、
カーテンボックスと窓巾とのバランスを見て、
どの仕上がり巾がキレイか、どの部分を使ったらキレイか、
印象が変らないなら残布が多い方が良いかなど、
様々な点を加工所と相談して寸法を決めました。

縦の柄位置はシェードを下げきった時にクツが切れないように。

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そしてどの位置まで上げた時でもクツが切れないように。

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お母さんやおばあちゃんのような素敵な女性になるよう
一歩一歩階段を上がっていくような、そんなお部屋かもしれません。
少なくとも、昼寝している人の口に葉っぱを詰めて写真を撮るような、
そんな女性にはならないでしょう(笑)。

 

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震災に想う

あの大地震から1週間が経ちました。
お亡くなりになった方、ご親族・ご友人を亡くされた方、
そして今も避難所で厳しい生活を余儀なくされている多くの方々…
『お悔やみ』『お見舞い』という言葉よりもっと深い言葉が
なぜこの世にはないのだろうと思うほどの気持ちです。
私も発生時に滞在していた宇都宮市で震度6強を体験し、
明け方まで頻繁に起こる余震に身を震わせました。
今も、その恐怖は消えていません。
自宅が海から600mという位置にある関係上、
今も余震が起きると津波を連想し緊張が走ります。
でも被災された方々の置かれている厳しい環境を知り、
地震によって起きた深刻な問題に対し、
私と同じ一社会人の方々が懸命に戦っていることを知るにつれ、
被災者でもなく、そうした状況下で働いているわけもない私が、
彼らより下を向いていて良いのか?
彼らより未来に不安を感じていて良いのか? と思うようになりました。

ツイッターで情報交換をしていた岩手の同業者@yamagirijoeさんは
『これからは被害の大きかった方々のために何ができるのかを考えて行きます』と
ツイートされています。
出身地が大きな被害に遭われた千葉の同業者『彩雅』さんは、
そんな状況下でも日々の仕事をきっちりとされている様子をブログにアップしています。
私も彼らに負けぬよう、
自分がカーテンをかけた分だけ人々の笑顔が出来ると信じて頑張っていこうと思います。
ブログも近日中にアップしていきます。

そしてもう一つ。
今後課題となってくる『復興』について、メーカー様にお願いがあります。
業界でインテリアに関するボランティアを組織化できないでしょうか?
もし私たちが今後の復興に寄与することができるのなら、
それは私たちの得意分野であることが最も効果的だと思います。
そして、この業界にはそのような希望を持つ方も多くいらっしゃると思います。
しかし単独・単発ではその思いを効果的にすることができません。
そこで、趣旨に賛同する企業・個人を会員として組織し、
被災地からの要望を情報として会員におろし、
個々の内容に協力できる資材・人材を救い上げて提供する仕組みを作るのです。
材料を提供できるメーカーがあるかもしれません。
採寸や工事に行ける者がいるかもしれません。
青森までは無理でも茨城までなら行ける者がいるかもしれません。
資材の運搬だけなら出来る者がいるかもしれません。
定休日の一日だけなら協力できる会社があるかもしれません。
そういった情報をオーガナイズして効率的に提供する組織を作って頂きたいのです。
勿論これには、国(行政)やNPOに対し
『インテリアに関して必要な物資、技術、マンパワーに関してはここに依頼して下さい』とアナウンスし、
その存在を周知させることが前提です。

また東北・関東地方の同業者の中には、
復興後も再開業できない会社が出てくることも予想されます。
そうした企業が1社でも少なく済むよう、
後方支援する組織としても活用できないかと思うのです。
例えば、内装関係の職人をしたくても道具が買えない人もいるかもしれません。
でも全国には買い換えたばかりで以前の道具を必要としない方もいるでしょう。
そうした方の情報交換の場としても活用できると思うのです。
この組織が活発に活用できれば、
東北・関東のインテリア業界は少しでも早く復興することが出来るのではないでしょうか。
また、そうでなければメーカー様の受けるダメージも大きくなります。
これは実利的な部分においても必要だと考えます。
手法はともあれ、今から準備しておくべき問題だと思います。
是非、ご検討の程お願い申し上げます。

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ほんの1000ミリ

今日はここ最近で私がもっとも苦労したシェードの施工例をご紹介。
まずは完成写真から。

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スミノエの人気シリーズ、キャサリン・ハムネットのD4057です。                                     この生地を初めて見たときから、
『シェードにしずらい生地だな』と 思ってはいたのですが、今回は本当に悩みました。
上の写真を見ても 『どこが?』 と思うかもしれませんが(笑)。

今回の現場は縦長のスリット窓が2連になっていて、                                              巾1015mmのカーテンボックスが付いています。                                                もし普通にメーカーに発注するのなら
(当店は提携工場で縫製しているのでそういう発注はしませんが)
品番とサイズを書いてFAXを流せば良い訳です。                                              しかし、それでは大きな問題が起こります。

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カーテンボックスに合わせて1000mm前後の仕上がり巾にしたいのですが、                                    下の写真のように柄を3列キレイに入れようとすると、                                            その寸法をオーバーしてしまうのです。(1060mmあり、カーテンボックスに入らない)

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かと言って両端を切ってしまっては、この柄が死んでしまいます。                                       ボックス巾を無視して2列の仕上がりにすると、
今度は窓巾より小さくなってしまいます。
さて、恒例の 『苦悩の時間』 のスタートです(苦笑)

まず考えたのは、2列にして色の合う無地を両脇に足してはどうか?                                      全てのカタログを引っ張り出して1時間…『合う生地がない!』(涙)                                      では全然違う生地(ストライプなど)を足したらどうか…『ない』(大粒の涙)                                 カーテンとシェードを全く違う生地にしたらどうか…『ない』(号泣)                                     では、ブラインドはどうか…日を改めてお客様にご相談。                                           『ブラインドはいやだな~』 『ですよね~』(ここで涙枯れる)
で、閉店後にもう一度生地を広げて見てみる。

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ん?お?これ…もしかして…
柄の間にある縦線の内、右だけ2本あるのを

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1本にしたら…

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1000ミリ~~~~~~~~!!! 1000ミリ!1000ミリ!1000ミリ!1000ミリ!                                 そりゃもう、街は大騒ぎ(笑)。                                                      今になれば『何でこんなこと気付かなかったの?』とも思うのですが、                                     まるで騙し絵と同じで、そんな見方が出来ない時はいくら見てもダメなんですね。                                あとはキレイに仕上げるだけ。
この寸法ではリングテープが3本(両端と中央)の仕様の為、                                          カットしてはぎ合わせた部分とずれてしまいます。                                              それではその部分がキレイに畳まれないのでリングテープを1本増やし、                                    両端、右の縦線部分(はぎ合わせの位置)、左の縦線部分の 計4本の仕様にしてあります。                            もちろん、畳み込まれる位置は柄の下端(写真右)。                                             後入れフックを使い、どの箇所でもこの位置で畳まれるようにしています。

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この仕様を決定し発注書を書ける段階になるまで何時間も悩み、                                        休日に東京の加工所へ出向いて裁断位置を確認し、                                              やっと一台のシェードを作ることが出来ました。
商売として見れば明らかに赤字です。                                                    一言で言えば『功労賞やるから始末書書け』ってところでしょうか?(苦笑)

 

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微妙な違いにコルト

今日はカワイイ子供部屋の施工例をご紹介。
当社お取引先のアコルデ様でご新居を建てられたI様の現場です。
ご採用頂いたのは、思わず 『笑ってよ~ぼ~くのため~に』 と
歌ってしまいそうな、かわいいピエロが踊る遮光カーテン。
(合ってるけど違うだろ!)

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滑り出し窓はロールスクリーンにしました。

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将来的に間仕切ることもできる2間続きになっており、
この後ろ側はこんな感じになっています。

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メインとして使っている遮光カーテンには、
ブルーはあってもグリーンはないのですが、
カーテンにあるブラウンやベージュを無理に合わせるより、
色は微妙に合わなくてもポップな感じになることを優先しました。
色の順序もプランニング時にI様とご相談はしたものの、
取付時に再度色々なパターンを試しながら決定しています。

使用したのはトーソーの人気商品、コルトシークル。
他メーカーさんにはないお手頃価格の遮光というのも便利なのですが、
あまり『くすんだ感じ』の少ないポップな色があるのも魅力です。
この微妙な違いが人気の理由になるのでしょう。
操作は私には珍しいスプリング式。
トーソーで言う『マイッチング』、じゃなくて『マイテックです』。
(特定の年代しか分からんぞ!)
もちろんプルセットはお約束のコチラ。

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追加代金不要の選べるプルセット。
今回は色に合わせた『あめ玉』を合わせました。
それにしても不思議なのはこのコルトシークル、
コルト限定のポイントカットは出来るのになぜかシーズは出来ない…。
コルトは出来るのに…。ポイントカットも出来るのに…。
この微妙な違い、早くなくなると良いなあ。

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白く塗りつぶせ!

今日はまずこの生地の写真から。

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川島セルコンのプルミエからPD7001(黄)とPD7003(白)です。
お客様が気に入られたのはPD7003(白)でしたが、
リビングには掃出し窓1つと腰高窓が2つという組合せ。
ちょっとウルサク感じるのと、ご予算もオーバーとのことでしたので、
こんな風に仕上げました。

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150cmの生地巾に2列の柄が入るので、それを半分にして両側に。
メインの生地は色と風合いの合うリリカラのFD59356を合わせました。
写真では一番端にあるように見えますが、端の1山分はFD59356にしてあります。
腰高窓は片側のみ柄を入れ、
もう片側にはPD7003(黄)の 無地部分をストライプにして入れました。
何も無いと間が抜ける感じがしたからです。
写真では分かり難いのですが、
このカラシ色はPD7001の花部分に使われている色と同色です。
(一番最初の生地の写真をご覧頂くとよく分かります)
とっても贅沢な使い方のように思えますが、
余った生地でクッションカバー2個とテーブルライナー1枚を作っていますので、
生地はほぼ余りません。

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クッションも 『全部柄ではちょっとね~』 とお客様と同意見となり、
面積の7割位を柄にしました。
(写真では置き方間違えてますが…苦笑)
生地は全てポリエステルですが、収縮率が0.5%違うので、
製作前に一度形状記憶の釜に入れて生地を縮ませてから縫製し、
完成後、もう一度形状記憶加工を施しています。
カーテンレールはご予算の関係で、もともと付いていたウインピアをそのまま使用。
レースは当店の5,000均一のシリーズから、ざっくりとした質感の無地を合わせました。
価格は通常の3ツ山・2倍ヒダで作成するより、
当店の販売価格でほんの数千円ですがお安くなっています。
単に1.5倍ヒダにすればもっとお安くなるのですが、
それでは1窓に柄が4つ出てしまい、
『うるさく感じそう』という問題がクリアーできないため、
今回のようなプランとなりました。

納品時、お客様から『サイトーさん緊張しないの?』と聞かれて
『はい。バッチリ仕上がると確信してますから』 と言ったものの、
本当はとっても緊張しました。
その日は朝からずっとこのカーテンのことで頭がいっぱいで、
いや、冗談ではなく本当にこのカーテンのことで頭がいっぱいで、
だから浴室ブラインドを持っていくのを忘れたのです!
もうその瞬間、頭の中真っ白です(爆)

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