横文字言葉が言えなくて

言葉と言うのは服装と同じで、
その人に『似あう・似合わない』というのがあるようようです。
僕の場合は、コラボ、マネージメント、CSといった言葉が苦手。
どうも自分の言葉ではないようでしっくりきません。
自分の知識や教養のせいかもしれませんが、
物事の本質が曖昧になる印象がありますし、
『その言葉の持つイメージに自分が組み込まれていく』ような違和感があるからです。
使えば使うほどに主体性が無くなっていき、
『結局何したかったんだっけ?』と途方に暮れている自分を想像します。

これと似たようなことはカーテンにもあるように思います。
メーカーはこぞってモダンを前面に出し、
素敵なカタログ写真の影響で買われる方もいらっしゃるでしょう。
家具やラグなどを同じテイストで揃えていけば、
間違いなく素敵な空間が出来上がると思います。
でも本当に大切なのは、
『自分の好きな空間ってどんなだろう?』ってことではないでしょうか。

そんなことを考えさせるきっかけになったのが、
サンゲツのロマネ・モードに掲載されているこの生地。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マフラーのような太番手の糸、エスニック感漂う色柄。
どれも今年のトレンドはありません。
でも、どの現場でも忘れられないほど印象に残る生地でした。
まずは厚木市のM様の現場。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

欄間のある2間窓に赤(CK9309)をご採用頂きました。
隣の2つの上げ下げ窓はあえてシェードにせず木製ブラインドで。
2つのアイテムの橋渡し役として、
カーテンにも木製ブラインドと同じバランスを付けてカーテンボックス風にしました。

お次は二宮町のS様の現場。
ステンドグラスの照明に合わせて赤をご採用頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは裾切り替えのカーテンにしました。
1窓しかないため1つの生地では単調になってしまうこと、
エスニックよりちょっとカントリー寄りなイメージにしたかったこと、
お安い生地の面積を増やすことでご予算的にも納まることが理由です。
多色使いのストライプをポイントとして使いますので、
どの位置から始めてどの位置で終わるかまでお客様と相談して決めています。

最後は小田原市のO様の現場。
グリーンとブラウンを基調にしたCK9308をご採用頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

O様の現場も全て同じではこの生地が活きないため、
あえて奥の滑り出し窓だけをこの生地でシェードにしました。
掃出し窓はざっくりとした質感の無地を合わせ、
タッセルをCK9308にすることで統一感を出しています。
カーテンレールは、床よりもカーテンとの相性を考慮してブラウンに。
シェードは1巾を2分割、
カーテンはお手頃価格の生地(均一カーテン)にすることで、
お安く且つ素敵に仕上げることが出来ました。

本当はもっとお洒落な言葉を駆使して
お部屋の素敵さをご説明したいのですが、
どうも私はインテリア業界の言葉が苦手で上手に使えないのです。
このブログを始めて5年。
いまだに生地のことをファブリックって言えない位ですから。
何か照れくさくて(笑)

 

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間仕切り百景

気付けば2月も半分を過ぎ、
このままでは冬も終わってしまうので、
今日は寒さ対策の間仕切りの現場をご紹介。
まずはアコーディオンカーテンを取り付けたM様の現場です。
採寸に伺った際に頭を抱えたのがコチラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

中央に柱のある2つの開口部に取り付けるのですが、
左の開口部の天井の一部に桟(さん)があり、
そこに取り付けるとアコーディオンがはみだしてしまうのです。
そこでちょっと一手間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 木部のない部分にクロスを貼った木材を取り付け、
そこにアコーディオンを取り付けました。
これによって柱の中央に取り付けが出来、
本体が柱の奥行きの中で納まります。

お次はリビング階段の開口部の間仕切りです。
暖房効果を高めるためにロールスクリーンを付けたのですが、
こちらは見た目を一工夫。
リビングに取り付けたバーチカルブラインドの関係で、
イエローのロールスクリーンを付けたのですが、
そのままでは巻き上がっている時に目立ってしまいます。
そこで、木製ブラインドのバランスを付けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

と、そこまでは珍しくない施工例なのですが、
一手間かけたのが廻り縁(天井と壁の見切り材)との納まり。
そのまま付けると、壁より先に廻り縁に当たり隙間が出来てしまうので、
事前にその分を『欠いて』壁にぴったり納まるようにしました。
ちなみに右の写真は、同じような開口部にカーテンを納めた現場。
向かって右がリビング、左がキッチンになっているため、
どちらからも出入りしやすいよう、マグネットランナーを両端に入れています。
ちょっとしたことですが、これだけで利便性は大きく変わってきます。

お次も同じリビング階段の開口部なのですが、
こちらは開口部が平面(1面)でないケースです。
ロールスクリーンではきれいに塞げないので、カーテンにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

出窓用のカーブレールを取り付けて、
開けているときは階段部分にかぶらないように納まります。
そして、こちらで一工夫したのはブラケット。
このレールには『ワンタッチ天井付』と『天井付』の2タイプのブラケットがあり、
通常私たちが使うのは前者です。
でも、裏側が見えるこの場所ではなるべく目立たせたくない…。
そこで、サイズの小さい『天井付』を使いました。
些細なことですが、これも見た目に大きく影響します。

最後は収納棚下の開口部の間仕切りです。
取付け可能な奥行きはたったの2㎝。
色々な商品を考えた挙句、カーテンでの納品となりました。
カーテンレールはトーソーのネクスティ。
レール幅は同社のウインピアの方が小さいのですが、
エステルームという場所を考え、ランナーの音が静かなネクスティにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

カーテンは寄せた時のボリュームを無くすためと、
中の雑然とした感じが見えず、でも物の配置場所は何となく分かる、
という透け感の生地にしています。
これを探すだけでも大変だったのですが、縫製にも一工夫しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

上部は畳んだ時の奥行きを無くすため1ツ山にし、
50㎜のアジャスターフックにして丈に対してバランスを取りました。
裾も同じ理由でウエイト巻きロック加工にしています。

どの現場もそうですが、
お客様が必要としていたのは、カーテンやロールスクリーンと言った『商品』です。
でも、私自身は『〇〇という商品を付けて良かった』という言葉ではなく、
『当店に頼んで良かった』という言葉を頂ける仕事をしたいと思っています。
シンプルな仕事にどれだけ自分のエッセンスを残せるかは、
私が最も大事にしている事の一つなのです。

 

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Stepping Up

昼ご飯を食べながらYouTubeで音楽映像を見ていたら、
お勧め動画にジョー・ジャクソンが出てきました。
高校生の頃、僕ににとって彼は『カッコいい大人』の代名詞でした。
オシャレでクールで才能に溢れ、品があるのにアウトサイダーの匂いがあり、
決してハンサムではないのにカッコよく見える独特の雰囲気。
『大人になったらあんな風になりたいなあ』と思ったものです。

まあ、実際にそうなっていたらこんな事は言えないわけで(笑)
迷った挙句に何も買わずにユニクロを出て、品はないのに『貧』の匂いがあり、
決してハンサムではなくてカッコ良く見えないそのままの雰囲気(爆)。
今後似てきそうな可能性があるのは髪の生え際くらいでしょう(笑)。

さて今日は、当店お取引先のアコルデ様の現場から。
川島織物セルコンのPD7007をシェードにしてお納めしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 150㎝巾の内、使用するのは縫い代を含めて76㎝。
左側から生地を取ると74㎝余ることになります。
そのままシェードにしても良いのですが、
1窓に単なるストライプのシェードでは、ちょっと寂しい。
そこで、その余り分を活かしてこんな風に仕上げました。


 

 

 

 

 

 

 

 

生地の残りにブルーのストライプがあることに着目して、
その部分をカットして横方向にして裾に継ぎました。
加工代は上がりますが、生地を余分に取らなくて良いので、
加算分はそれほど大きくありません。

お次も当店お取引先の江原工務店様の現場。
無地のカーテンを無駄なく使って、カーテンとシェードを作りました。

                                                                 

 

 

 

 

 

 

 

アイボリーの生地の両脇に足したブラウンの生地は150㎝巾。
その分だけでは生地が余るので、それをシェードにも使いました。
それでもまだ余るので、写真にはありませんが、
ウオーク・イン・クローゼットの小窓のシェードにも使用しています。
全ての生地の使用量を確認し、それをフル活用することで、
価格をあまり上げずに仕上がりを良くすることが出来ました。

でも、生地をフルに使う一番の理由は『勿体ないから』ではありません。
あくまでも、その方が良い仕上がりになるからです。
ですので、逆にちょっと贅沢に使うこともあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 つい先日、吹き抜けに取り付けた『ぞうさんレース』のプレーンシェード。
そのまま付けてもカワイイのですが、
木の幹の色に合わせて裾にオレンジの無地を足しました。
色の相性や生地のボリュームを考えてのセレクトですが、
問題はこの生地が100㎝巾だということ。
仕上がり幅は118㎝なので2巾必要になり、中央にジョイントが入ります。
でも、それではちょっと見た目がイマイチ。
そこで生地を長めにとって縦方向を使い、ジョイントなしで製作しました。
価格は若干高くなりますが、仕上がりの違いと比較してお勧めしました。

どの現場も、生地の使い方や価格を何パターンも作って比較して、
一つのプランを作り上げました。
目指したのはオシャレでクールで工夫に溢れ、シンプルなのに楽しげで、
決してお金はかかってないのに見栄えがする雰囲気。
訪れた人が『カーテン付けるならあんな風にしたいなあ』と思って頂けるような…。
そう、例えるなら私と私が憧れたあの人を足して2で割ったような
どんな方にも工夫次第で実現できるプラン。
それが僕にとってのオーダーカーテンのような気がします。

 

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Season and Reason

深夜帰宅の続く私ですが、
家に帰ると他のカーテン屋さんのブログを見ながらビールを飲むのが日課です。
素敵な施工写真を見つけることも多く、
時にはパク…じゃなくてインスパイアされて自分の仕事に活かしています。
でもどうしてもパク…じゃなくて、似たように出来ないのが文章表現です。
特にこの業界は女性が多いからか、
『素敵な花を見つけました』とか、『雪で覆われた山々がキレイです』など
季節感たっぷりの表現が多く、
それを読んだ後で自分のブログを読み直すと頭を抱えたくなります(笑)。
まあ私のブログではまだ9月なので、
季節感を入れようとすること自体かなり無理があるのですが(苦笑)

さて今日は、バランス(上飾り)とシェードを組合せた現場のご紹介です。
最初のご来店時、N様のご希望は、
①猫を飼っているのでカーテンよりもシェードにしたい
②掃出し窓はシャッターがあるのでレースのみのシェードで良い
③滑り出し窓はシャッターがないので厚地とレースのダブルシェードにしたい
という内容でした。
まずは『価格の目安となるお見積りを』という事でしたので、
使用する生地を選んで頂き、簡易的なお見積りを作成しました。
そして後日、再度ご来店されたN様から
『この内容でお願いします』とお返事を頂けたので、
普通ならこれで『めでたしめでたし』となるわけですが…。
そうならないのが当店です(笑)

先日お渡ししたのはあくまでも叩き台。
そこから『ご予算を変えずに、さらに内容を良くする』のが当店の役割です。
特に、滑り出し窓にだけドレープがある違和感をなくしたい…。
でもご予算は限られていますし、
掃出し窓にドレープは不要と言うのがお客様のご希望です。
『ドツボ』があると自ら入って行くいつものパターンで、悩むこと数日。
納品したのがコチラの写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

滑り出し窓は当初のご予定通り、
無地の厚地と刺繍レースの組み合わせでダブルシェードに。
掃出し窓には当初のプランにはなかったバランス(上飾り)を加えて、
統一感を出しました。
  

 

 

 

 

 

 

 

 
バランスはレースの裾ラインに合わせて、曲線を描いたカットを施しています。
このバランスを付けるために、他のお部屋を仕上がりに影響が出ないように調整し、
何度もお見積りを作り直して、ご予算に納まるようにしました。
大変な作業ではありますが、そこにこそ当店が存在する理由があると思うからです。

そしてこの意気込みを季節感たっぷりに表現すると…
表現すると…
おしゃれなインテリア関係者のように…
え~っと…季節感たっぷりに…

コ、コ、コンビニが恵方巻きに賭ける位の意気込みで頑張りました!
(ダメか?)

 

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細かすぎて分からないこだわり

なぜか私は周囲の人から『大雑把』『楽天家』と言われます。
その度に否定するのですが、なかなか信じてもらえません。
自分で言うのも何ですが、私、とっても細かいのです。
採寸に行った商店街でいち早く監視カメラの存在に気付きますし、
スーパーで万引きGメンを見つけるのも得意です。
高速道路でもバックミラーをチラチラ見ながら、
覆面パトカーが来ていないかいつもチェックしています。
(犯罪者ですか?)

そこで今日は、私がいかに細かいをご説明。
まずは、同じサイズの腰高窓にプレーンシェードを取り付けたK様の現場です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使用したのはキロニーのリバティーファブリックから、
ハニーサックル(スイカズラ)がモチーフのTKR6093。
2つの腰高窓は幅169㎝の同じサイズなのですが、
右側の窓には窓枠から1.5㎝の所までエアコンがきています。
当店では窓枠に対し左右各4㎝づつ大きめに製作していますので、
この場合、右側の窓は169+4+1=W174㎝、
左側の窓は169+4+4=177㎝の仕上がり巾となります。
でも、それでは柄の出方が変わってしまう…。
そこで、それぞれのシェードの『窓からの出し分』を調整し、
2台共に175㎝の仕上がり巾にしました。
とても細かな事ですが、現場でお客様と打ち合わせしての決定です。
そうです!私は細かいのです!

お次はボラスのバードランドをシェードにしてお納めした子供部屋。
こちらも普通に取り付けているように見えますが、
細かな点に注意して製作しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2つの窓は同じサイズに見えますが、右119㎝・左124㎝と5㎝違います。
1巾使いで普通に製作すると、片側の柄の出方がその分だけ違ってしまうのです。
大柄のバードランドでは、その違いが目立つ可能性があります。
では今回も同じ寸法でシェードを作れば良いか?と言えばそうではありません。
横並びの窓で窓からの出幅を5㎝(左右各2.5㎝)変えると、
今度はその違いが目立つ可能性があるからです。

そこで右の窓は窓幅+10㎝で129㎝、左の窓は窓幅+8㎝で132㎝の仕上がりにしました。
これだと片側1.5㎝の違いですので、ほとんど違和感がありません。
さらに柄合わせの位置も工夫しました。
上部角で合わせる一般的な『柄合わせ』の方法ではなく、柄の中心を合わせたのです。
これにより、両端の柄の切れ方の違いは見た目では分からなくなります。
この2つの方法により、
窓からの出幅も両端の柄の切れ方も同じに見える仕上がりになりました。
そしてこの2つのバランスを取るために、
閉店後の店内で何度も何度もサンプルで試して丁度良い所を見つけ、
お客様にその説明をしてご了解を取り、
写真を撮って加工所に説明を加えた発注書を送り、
やっと2台のプレーンシェードが完成するのです。
もう、本当に俺って細かい!

そして何がすごいって、
内容が細かすぎて一般の方には理解できないだろうと思いつつも、
そのままブログをアップしてしまうのがスゴイ!
なぜって?
そりゃあ私が大雑把だからですよ(笑)

 

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楽しみのコツ

今年もまた、大学時代の友人Aから年賀状が届きました。
仕事の忙しさを言い訳に年賀状を書かず、
返事も出さなかった期間が数年間あった私は、
今やほとんど年賀状が来ないという状況になっているのですが、
Aだけは、この『失礼な男』に毎年必ず年賀状をくれます。

Aは大学時代に私が住んでいたアパートの隣室の住人であり、
同級生であり、そして私の保護者(笑)でした。
風呂・トイレ共同、カギはかかるが開いてしまうオンボロ平屋のアパートで、
私とAを含め5人の住人は、友人であり家族みたいな関係でした。
皆、一様に金がなく、野菜や米を持ち寄ってはカレーを作って食べ、
夜は誰かの部屋に集まって、くだらない話に盛り上がりました。
部屋の掃除をしていたら豚肉を見つけて、
『焼けば平気だろ』と食べて死にそうなった者(匿名希望Sさん)が出た時は、
皆が看病してれたものです。
お金をかけずに楽しむ、という私の仕事の原点がそこに……
あるワケないか(笑)

さて、今日ご紹介する現場はそんな私が得意?とする、
『値段が高くならずに、尚且つ楽しく』をテーマに仕上げた現場です。
F様はご来店当初から『カーテンを楽しみたい』とおっしゃっていて、
最初に気に入られたのがバーチカルブラインドのカラーコーディネート仕様でした。
前回のブログ同様、アイテムは決まったので、
あとは採寸・発注・取付と進めていけば良いわけですが、
そうならないのが当店なワケで(笑)
『あ~じゃない こ~じゃない』と私とF様でさらにお打ち合わせを重ね、
出てきたアイデアを実現したのがコチラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーチカルブラインドと北欧の人気柄、ボラスのマラガとのコーディネート。
裾にはシェードに使用するウエイトバーを入れていますが、
通常のものでは厚みがあるので、薄いタイプを指定して『すっきり感』を出しました。
仕上がりサイズは窓に対するバランスとマラガの柄の大きさを考慮して決定。
上部は筒縫いしてグレイス11の正面付ブラケットを使用して固定しています。
昇降はしませんので、出入りに対する問題も慎重にお話を勧めました。
F様はご入居後一か月経っており、
『4枚ガラスの中央からしか出入りしていない』ことが確認できたからこそ
ご提案できたプランです。

この窓の反対に位置するキッチン横の窓には同じマラガのシェードです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣に位置するエスニック調のタイルとのバランスが問題となったのですが、
『近いとケンカしてしまうのなら離してしまいましょう』 と、ご提案しました。
価格の高いマラガの使用面積を減らし手頃な無地を合わせることや、
バーチカルブラインドで使用したマラガの残布で生地が足りることで、
価格もお安くなります。
引き締め効果を狙って、マラガの左端にも白を入れましたが、
これもリングテープの縫い付け位置とジョイントが同じになるよう、
寸法を指定しています。
(この位置がずれるとキレイに畳まれないのです)

カーテンプランは、使用するアイテムが決まってから一手間加えることで、
これだけ大きく変えることが出きます。
そしてそれは、決して値段と比例するものではありません。
必要なのはお客様と一緒になって重ねる打ち合わせとアイデアと、
そしてそれを楽しめる心の余裕かもしれません。
『偶然見つけた肉を食う』なんて無謀なことさへしなければ、ね(笑)。

 

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A列車で行こう

久しぶりの更新です。
満を持しての更新ですので準備も万端。
今までのサイトーからさらに進化した姿を、
今日あなたは目の当たりにすることになります。
(なんかB級映画のコマーシャルみたいだな)

さて、復活最初のエントリーは、9月に施工した秦野市のU様の現場です。
上品なU様ご夫妻は、テレビCMに出てくる『映画を観終わったばかりのカップル』にように
『このカーテンサイコー!!』などとコブシを振り上げたりはしませんでしたが、
『とっても満足してますよ~』と言ってくださいました。
大手住宅メーカーで紹介された生地を気に入られていたのですが、
当ブログを読んで下さっており、私にプランニングを依頼して下さいました。
U様が気に入られていたのは、
川島織物セルコンの『filo』に掲載されているFF6586(アサナギ)です。

生地は決まっているので、あとは採寸して取り付ければ終わり…
ならば私には依頼しないわけで(笑)、
そこからが例によって『苦悩の時間』のスタートです。
幸いなことにU様のリビングには、
ベランダ窓が3窓、40㎝巾のFIXが2窓、それに横長の採光窓の計6窓もあり、
とってもプランニングが難しい現場です(苦笑)

『ここをこうしてこうすると…ここがへんだなあ』
『あ、じゃあここをこうしないでこうして、ここをこんな感じにして、ここは思い切ってこう』
『いやいやそれはやっぱり変だから、ここをこうすればここがこうなるから…』
文章にすれば3行ですが、実際にはご提案するまで3週間かかりました。
完成したのがコチラです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南側のベランダ窓はFF6586をプレーンシェードで。
縦に意匠糸の入ったレースはカーテンにしてフロントに。
窓枠の上から天井までは7㎝しかないのでグレイス16の天井ブラケットを使いました。
FF6586の柄を活かしたかったこと、
ベランダへの出入りのためにWシェードを避けたかったことからご提案したプランです。
この組み合わせの場合、昼間は厚地のシェードは上がっており、
夜はレースを開けておく(=写真の状態)になるので、
唯一違和感のある『レースも厚地も閉じている』状態はありません。
一般的な『フロントレーススタイル』とは異なりますが、私が良くお勧めする方法です。

奥に見える2つのFIXと、上の写真の反対側に位置するもう一つのベランダ窓には
ちょっとアクセントを付けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

2つのFIXは片側を白の無地に、
ベランダ窓はFF6586を一部だけ使用したシェードにしました。
窓数が多く全て同じでは単調になってしまうこと、
価格の高いFF6586の使用面積を減らし(2分割して2つの窓に使用しています)、
代わりに低価格の無地を使うことでお安くなるメリットもあります。

そして最後に採光窓に付けた無地のロールスクリーン、
ん? 採光窓、あれ? 写真?撮って………ないじゃん!

 

その時………全米が泣いた!

(やっぱり復活後もB級映画路線か)

 

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レースのお仕事

ここ10年間、カーテン業界で最も劇的な変化を遂げたのは
レースではないでしょうか。
それまでは『カーテン選び=ドレープ選び』でレースは脇役。
当時は魅力的な生地が少なかったこともあり、
無地ボイルが圧倒的な売れ行きでした。
そして、そこから2つの流れが出来ました。
1つは透け感に対する不満(外から見られやすい)からミラーへ。
1つはシンプル過ぎる不満からオパールやデザイン性のあるレースへ。
透け感に関しては、お客様の『誤解』や、
業界の販売方法が『適切』であったかどうかという問題もありますが、
デザインに関しては業界の努力の賜物だと思います。
個性豊かなレースの存在により、
プランが劇的に良くなったケースは少なくないはずです。

さて、今日はそんなレースが主役の現場を2つご紹介。
まずはスタッフTさんが担当した現場です。
お客様から『1間窓にパイプ通しでレースを付けたい』というご希望を受け、
『レースカーテンの開閉はしない』ということから、ご提案したのがコチラ。

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上部は耳立てをし、下部は共生地でちょっと長めのフリルに。
かわいい小花の刺繍レースを、より引き立たせるスタイリングです。
フリルの丈は何度もサンプルで試しながら寸法を決めました。
お客様は1枚のお仕立てをご希望でしたが、
窓の開閉のしやすさや風の影響を考えて2枚にしています。

お次は私が担当したS様邸。

IMG_4234

掃出し窓の向こうは隣家の壁に面していて、
外から見られる心配がない為、レースの2重吊りにしました。
日中ずっと隣家の壁が見えている状態を解消すべく、
奥のレースは少しボリューム感のあるベージュ色の無地にし、
手前にナチュラル感のあるオパールレース、
PL7044(川島セルコン)を合わせました。
右手の上げ下げ窓は駐車場に面しているため、
夜の透け感を重視してナチュラルテイストのドレープをシェードで。
単純に無地を合わせず、あえて柄物にしました。

当店では先日のブログでご紹介した『逆吊り』を始め、
レースが主役のプランをご提案することが増えています。
ドレープよりも見る時間が長く、同じ金額をプラスするなら、
ドレープより効果(=部屋に与える影響)が大きいからです。
但し、窓ごとの透け感やお客様の生活スタイルなどを
詳しくお聞きしないといけないため、
プランニングに慎重さも必要ですし時間も多くかかります。
でも、それこそが『私たちのお仕事』だと思っています。

 

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キツネとブドウとオレンジとワタシ

先月受診した健康診断の結果が返ってきました。
血圧も内臓も特に異常はなくホッと一安心です。
私は大学時代に結核(本人はそうとは知らず寝て直した)を患っており、
一昨年の受診でそれを言い忘れたばかりにヒドイ目に遭いました。
『右肺に異常あり』で要再検査となったわけですが、
問診した先生が『じゃあ、肺がんの疑いありって書いときますから』と言うのです。
いやいや、何言ってるんですか?
しかも続きが、
『まあ、レントゲンで見つかる肺がんって末期中の末期ですよ』。
それ慰めになってませんから。
さらに続きが、
『ところでさっき、釣りが好きって言ってたけど何釣りやるの?』
どんな流れですか?
今でも健康診断を受けるとあの先生を思い出します。

さて、今日は小田原市のM様の現場のご紹介です。
リビングには北欧生地の『キツネとブドウ』をハトメカーテンで納めました。

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奥行きの少ない窓だった為、
レース用のレールは『ネクスティ』を直付けしています。
一般的に使われる『エリート』では、
レースが窓枠からはみ出る可能性があったためです。
丈はカン上を考慮した総丈で発注して、敢えてレールを隠す仕様に。
レールの手前側にレースがぶら下がる為、
ハトメカーテンはレールの奥側への出っ張りが少ない仕様にしました。
レースと干渉しないようにする為です。

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お次は子供部屋。
こちらは赤とオレンジのカーテンを2色使いにしました。

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シェードは2台で3巾使いなので、その内1巾を色違いで。
通常はジョイント位置にリングテープを縫い付けるのですが、
(きれいに畳まれるようにするため)
今回は 『ボーダーにしたい巾』 と 『リングテープの位置』 が
調整しにくい関係であったため、シャープシェードにています。

私は『こだわり』という言葉が好きではないのですが、
日々の仕事で必ずしていることがあります。
採寸に行ったら寸法やエアコン等のチェックだけではなく、
その部屋全体を『ちょっと離れた感覚で』しっかりと見てくること。
見積もり書を作ったら、
全ての窓にレールを付け、カーテンを掛け終わるまでの作業を
一通りイメージすることです。
この2つの作業を行うことでプランが充実したり、
ちょっとした見落としに気付くからです。
そうやって時間と神経を費やした結果、
健康診断で『肥満度-20.4』と診断されるワケですが(笑)。
お客様の代わりに取ってあげた『ブドウ』、いっぱい食べてるんだけどなあ。

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見積もりマジック

今日は一日、『なでしこジャパン』の話題で
日本中がもちきりだったのではないでしょうか。
ふと、マジック・ジョンソン(NBAのスーパースター)の
引退式での言葉を思い出しました。
『自分の人生を振り返ったとき、あの時こそが最高だったと、
思える瞬間を持っている人は幸せだ』。
彼女達にとっては、まさに今日だったことでしょう。

さて、先日お取付したK様の現場です。
奥様のご希望は、『フェミニンでクラシカルで…でも価格安く』(笑)。
腰高窓にはレースでスタイルカーテンをご希望でした。
事前に頂いていた図面から、まずは一般的なお見積り。
均一カーテンの花柄ドレープに、均一レースのボイルという組合せ。
スタイルカーテンは花柄のドレープに合わせてスカラップのフリルで。
ドレープのカーテンレールは木製レール。
4つの上げ下げ窓はプレーンシェードという内容です。
そして、お打ち合わせ当日。
お見積りを見たK様のお応えは、
『う~ん…リビングはもうちょっとしっかりやって…もう少し価格安く』。
他の洋室は全て機能レールに均一カーテンの組合せなので、
価格を下げるのは困難です。
で、恒例の 『苦悩の時間』 のスタートです(笑)。
あれこれと悩んだ挙句、お納めしたのがコチラ。

ベランダ窓と腰高窓には、共布でフラットストレートのバランスを。

IMG_4122_edited

4つの上げ下げ窓は、シェードから、
ドレープと共布のカフェカーテンに変更しました。

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西側はお嬢様ご夫婦がお住まいの階段の窓であること。
東側は少しずれた位置に隣家の窓があるものの、
カフェカーテンでも十分にプライバシーが守れることからご提案しました。
この内容で最初のプランから24,000円ほどお安くなり、
尚且つ良い仕上がりになったと思います。
K様にも大変喜んで頂きました。

ふと考えれば、
深夜まで残業してプランに頭を悩ませ、
頑張って単価を下げると言うのは変なことかもしれません。
でも、今でもあの時のK様の笑顔を思い出すと、
『あぁ。あの時は最高だった』って思うんですよね(笑)。

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カテゴリー: バランス・上飾り, 施工例 | 見積もりマジック はコメントを受け付けていません