相反する気持ち

リビングと和室の続き間をどうするかは
最近の住宅では大きな一つのテーマです。
分けたい、でも明確には分けたくない…
続けたい、でもどこかで線を引きたい…
こんな相反する希望をどのように形にするかは、とても難しい問題だからです。
そしてその答えはお客様や現場によって様々。
厚木市のK様の場合は、『一つの空間として使いたいけど、全く同じようにはしたくない』ということでした。
こうした場合、つい無難な生地をお勧めしがちですが、当店の場合は違います(笑)。
家のメインとなる空間を『無難』にまとめることを目的にするなんてもったいないと思うからです。
K様にも、難しい理屈は置いておいて、まずはお好きな生地を選んで頂きました。
そして奥様が選ばれたのは北欧生地の『キツネとブドウ』。
あとはこれをどうお部屋に落とし込むかが、当店の仕事です。
出来上がったのはコチラ。

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リビングと和室、二つの空間に並行して並ぶ掃き出し窓には切替のカーテン。
そして東と西の両端に並ぶ小窓を変えてみました。
リビング側の3連窓はブラウンとオレンジを裾に使ったシェードに。

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そして和室には奥様の好きなキツネとブドウをシェードで使いました。

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掃き出し窓に使うにはちょっとインパクトが大き過ぎますし、
リビングの滑り出し窓は窓の位置が高く、重く感じてしまいます。
そこで、北欧生地の中でもシックなこの生地を和室に持って行くことにしました。

続き間だから、窓が多いからといった理由で、
初めから無難な生地を選んでしまう方が多いのですが、
その部屋ごとに適したプランがきっとあります。
そして、そんなお手伝いが出来たらなと思っています。
夜中に一人、頭を抱えながらですが(笑)

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ベストマッチング

お子様も大きくなり、K様ご夫婦が二人だけの最後の住まいを作ろうと思った時、
ほぼ全てのご友人がマンションを勧めたそうです。
でも、K様ご夫婦の選択は戸建てでした。
庭があり、生活のしやすさではない異空間を作れるのは戸建てだと思われたそうです。
雑誌やメディアでは老後の住まいについて色々と書かれています。
でも、住まいとは何か?という根本的な問題に対する答えは人ぞれぞれ。
K様の選択は家に関わる仕事をする私にとって、とても大きな命題を頂いたようでした。

そんなK様の建てられたのは、無垢をふんだんに使った和モダンの家。
イメージが明確でしたので、お店での生地選びも順調に進み、
あとは現場での生地合わせのみとなっていましたが、
そこでふと私の脳内をある疑問が通り過ぎました。
『確かに合うけど、これはK様が家を建てる前にイメージした空間になっているだろうか…』
カーテンの場合、家に合う生地は一つではありません。
だから、ベストな生地でなくても良い感じに仕上がってしまう事があります。
自分がK様になったつもりで、出来上がった部屋をイメージし、
現場打ち合わせの際にご提案してみました。
K様はとても喜んで下さり、ご採用頂いたのがコチラです。

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ナチュラルから真っ先にイメージする色、グリーンは日常を連想させるので敢えて避け、
テーマカラーはオレンジに。
リビングにはプリーツスクリーンを付けました。
使い勝手を考えればカーテンですが、K様のイメージを考えれば、便利さよりも非日常感が優先です。

2階は吹き抜けのホールと和室が続く、独特の空間です。
扉は通常開けておくとのことでしたので、
繋がりを保ちつつ、区切りを感じさせる仕上がりにしました。

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居室として使う和室はドレープのプレーンシェード、
外からの視線が気にならないホールは麻調のレースをメインに和室の生地を両端に使って
サイドボーダーのシェードにしました。
工事後、工事の際にいらっしゃらなかった奥様から、
とても丁寧なお礼の電話を頂きました。
『ただ部屋に合う生地ではなく、その人らしい生地であること』
を教えて下さったK様に心からお礼を言いたい気持ちでした。
K様、ありがとうございました。

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デメリットを倍返し

当店の特徴の一つにお手頃価格の『均一カーテン』シリーズがあります。
とは言っても価格を『売り』にしているのではなく、
価格が同じことでお客様が生地選びに専念できることがメリットだと考えています。
カーテン選びって、ともすると
『これだと柄が大きすぎるかな』
『この柄は好きなんだけどもう少し大人しい色が無いかな』
というミクロな視点になりがちですが、もっとも大事なのはテイスト合わせであり、
それが住む人が好きな空間であることです。
だから理屈を優先するあまり、自分が好きな物を見失ってしまうのは悲しいことです。

今日、ご紹介する相模原市のM様は、そんなカーテンの楽しさを求めてご来店されました。
各お部屋にお選びになったのは『均一カーテン』です。
それを基に当店でお部屋に合うようにご提案致しました。
出来上がったのがコチラです。

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掃き出し窓はコストを抑えるためにそのまま使用、
両端(写真では1窓ですが)の腰高窓はポイントを作るために裾にブラウンを足しました。

お次は子供部屋。
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当店で最も人気のあるキッズカーテンの一つ、サファリ柄。
腰高窓はその生地をフラットバランスにだけ使い、
ラダーテープ付のブラインドと合わせました。
同じ生地で組み合わせるのと価格も大きく変わりませんが、
子供部屋らしいポップさはグ~ンとアップします。

最後は主寝室。
こちらも4つある上げ下げ窓がコスト増の要因となっていました。
窓の向こうは道を挟んで隣家のベランダがあり、視線も気になります。
そこでブラインドを活用してコストを抑えつつ機能性と装飾性を両立させました。019

 

 

 

 

 

 

 

各お部屋とも最初からミクロな視点で生地選びをしていたら選びにくい生地です。
『これだとちょっとうるさいかな』『これだと逆にシンプル過ぎるかな』『グレーだと暗いかな』…。
でも、そんな欠点があるからこそ、それを活かしてプランを考える事が出来ます。
『ちょっとうるさいからこの窓の手法を変えてみよう』『シンプル過ぎるから少しインパクトを足してみよう』
デメリットって案外、プランを良くする大きなポイントでもあったりするんですよね。

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大人の階段上る靴

当店で人気のイギリスのコットンプリント。
かわいらしいトゥシューズが並んだデザインで、
小さなお子様でも、数ある生地の中からこの生地を最初に選ぶこともしばしば。
それだけ魅力的なデザインであるということなのでしょう。
でも、問題なのはお値段もちょっと魅力的なこと(笑)。
O様の場合もそこが問題となり、
この生地を部分的に使う事で価格を抑えた提案をしました。
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トゥインクル・トゥは上飾りのみに使い、カーテンはお手頃価格の無地を。
でもそれだけでは、この生地のかわいらしさを活かせないので、
上飾りの裾に小さなフリルを付けました。
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タッセルにも同じように小さなフリル。
小学校高学年の女の子であることを考慮して、
あえてフリルはピンクではなく薄いパープルにして、ちょっと大人っぽさもプラス。

アクセントにピンクの壁紙が貼られた壁面の小窓はシェードではなくブラインドで。
これも価格を抑える工夫です。
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こちらは上飾りを作った際に出た残り布を使い、
ゆるくヒダを取った簡易的なバランスに。
ブラインドはピンクの壁紙に映えるよう、
白をベースにピンクを少し入れたカラーコーディネート仕様です。

海外のキッズコレクションを見ると思いだす言葉があります。
ある幼稚園の先生が子供用の玩具についてこんな風に話されていました。
『海外のおもちゃは確かに子供用ではあるのだけれど、決して子供騙しではないのよね』
そこに、『子どもなんだからこんなものでも…』という考えはありません。
でもそれは決して高い物を買い与えるということではなく、
真剣に子どものことを考えるという、ごくごく当たり前のことなのだと思いますし、
それは子供部屋のカーテンプランを作る時も同じです。
だからこそ、同じ生地を同じようなご要望でお作りしても、
違うプランが出来るのでしょうね。

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小窓に彩りを

ご新築時にカーテンのご依頼を頂いたF様から追加のご注文を頂きました。
一通りの窓はお付けしたので『どこだろう?』と思いつつ伺うと、
トイレと廊下の小さな窓でした。
小さな窓だから何でも良いかなと思いつつ、
近くのチェーン店に伺うもどれもピンとこなかったとのこと。
当店では色々と工夫したプランをご提案することが多いので、
こういうケースは珍しくありません。
この、普通のカーテンでは物足りなく感じてしまうことを『プラスプラン症候群』と呼びます(笑)。
でも、受け手側の私たちはお客様の期待を感じますので、プレッシャーでもあります。
なるべく予算をかけず、ご期待に添えるものを作らないといけません。
ご新築時に現場は拝見していますが、その後の変化を確認するためにも現調は必須です。
出来上がったのがこちら。

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廊下の窓はスリガラスでしたが、窓を開けた時の外からの視線がきになるとのことでした。
一般的にはロールスクリーンなどで簡単に済ませるのかもしれませんが、そうはいきません(笑)。
ステンドグラス風のシアーをシェードにして、裾にガラス風のトリムを付けてみました。
レースは透け感のある分繊糸ですが、柄があることで見えにくくなります。
外からどの位見えるのか、事前に現場でお客様に見て頂いて決定しました。
お次はトイレ。

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こちらはイギリスのブランドのコットン生地。
マットやトイレカバーと同じシリーズのように見えますが、
この二つは某インテリアチェーン店さんのもの。
『これは無視してプランを考えても良いですよ』と言われましたが、
折角買われた物ですし、何とか活かしたいと生地を探しました。

カーテンを選ぼうとすると、色々や制約にがんじがらめになって、
ついつい自分の生活に彩りを加えてくれるものだということを忘れがちです。
でも居室ではない小窓であれば、そんな堅苦しさからも解放されます。
重要度の低いこうした窓が、インテリアって何だ?って教えてくれたりします。
是非皆さんも小窓で遊んでみてください。

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エスニック ログハウス

当店で意外と多い家のジャンルにログハウスがあります。
一般的な施工が出来ないことと、
ログハウスが持つ『懐の深さ』ゆえにカーテン選びに迷われる方が多いのが理由です。
ヨーロッパの山小屋風からナチュラル、そしてカントリーまで、
お客様によってイメージは様々ですが、
外見では同じように見えるログハウスをインテリアで自分色に出来るのが魅力でもあります。
相模原市のI様との打ち合わせで最も重視したのもこの点でした。
そして出来上がったのは、ちょっとエスニックに振ったこちらです。

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ダイニングのカーテンはモール糸使いの生地をハトメスタイルに。
床にキリムを敷かれることをお聞きしてのセレクトですが、
黒のアイアンレールをカントリー調のキャップにすることで、『はまりすぎない感じ』にしました。
レールの取付位置は今後のログの沈み具合も含めてご相談しています。

小窓の中心のリビングはシェードに。

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単純に同じ生地にせず、裾の一部だけを使う事でお部屋にリズム感が出ます。
窓上の幕板の高さが微妙に異なるため、
それぞれの床からの高さを測って平行を取り、
そこからさらに幕板とのズレ具合とバランスをとって取り付けています。
こうした小さな違和感は出来上がった時に妙に気になってしまい、
結果的に全体の仕上がりに大きな影響を与えてしまうので重要なのです。

そして、続き間の畳スペースは、同じシェードでもサイドボーダーに。

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畳スペースというテイストの違いもありますが、
それよりも、I様ご家族の、笑顔の絶えない楽しい感じをカーテンにも出したくて、
変化を加えてみました。
I様にもとても喜んで頂き、ご家族がそこで楽しむ風景もとても印象深いものでした。
I様、ありがとうございました。

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ベンリのムコウ

小田原市のK様はご自宅のリフォームを気にご来店されました。
築年の数の長いご自宅をリフレッシュしたいというのがきっかけでしたが、
それがご自身たちの最後の住まいになることを、とても意識されていました。
浴室を新しくしてバリアフリーにし、キッチンも使いやすいものに交換しました。
でも、工事が終わりに近づくにつれ、単に新しくする、便利にするだけでは
満足できないと思われたそうです。
そんなK様のお打合せのメインは、リフォーム後のライフスタイルでした。
まだご夫婦お二人ともにフルタイムで働かれていて、
毎日はめまぐるしく過ぎていきます。
そんな中で、家で過ごす時間はどんな風に流れていくのか、
どんなインテリアなら、毎日をフレッシュな気持ちで迎えられるのか、
それを形にしたいと思っていました。
出来上がったのがこちらです。

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50代、60代の方の場合、クラシックテイストをお好きな方が多いのですが、
K様ともお話ししてダークモダンに仕上げました。
カーテンはブルー&ブラウンのモダンなレースを手前に付けたフロントレーススタイル。
ダイニングテーブルはカリモクのシャープなイメージのものを合わせました(当店納品)。
でも、これだけではK様の気持ちを切り替えるには不十分です。
そこで腰高窓の下に途中家具を取り付けました。

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それまでキッチンカウンターの上にあった電話やルーターを一まとめにし、
ルーターは専用の収納スペースを設け、雑然としていたコード類も見えないようにしました。
ダイニングセットの裏側に配置することで、
パソコンを使う時は椅子を反対に向ければOK。
引き出しの高さや数も、収納したいものを事前に確認して決定しました。
こうしてテーブルやカウンターの上から物が無くなることで、
リラックスできるようにすることが目的です。

続き間の和室もモダン寄りに。

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テーブルと同じシリーズのカリモクのTVボートの裏には格子柄のクロスを貼り、
ラグも思い切ってモダンに。
柄パターンと色のトーンを合わせて、統一感を出しました。

そして最後は浴室。

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納品後に伺うとK様から、
『お風呂に入る時間が楽しくて、ゆっくり入るようになったんですよ』と言って頂きました。
打合せ当初、K様とたくさんお話ししたリフォーム後のライフスタイル。
そんなお話しの数々をインテリアに反映させることが出来たと思います。
K様、ありがとうございました。

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宮殿へようこそ

初めてご来店された時、Y様は病院を退院されたばかりでした。
家をご新築されるタイミングでの入院に精神的なご負担も大きく、
インテリアとしてのカーテンというより、
陽を遮りプライバシーを守る布をご必要とされていました。
納品後にお聞きした『実は既製カーテンでもいいと思ってたんです』という言葉は、
実際に納品したカーテンとのギャップがとても大きく、
私が今までお客様からお聞きした言葉の中でもベスト3に入るほどの衝撃でした。

そんなY様にお打合せでイメージをお聞きした時、
すぐに出てきたのは『お姫様』でした。
Y様がお帰りになられた後、私はデザインを描く紙に向かって考えました。
お姫様という言葉を、Y様の気持ちを表す言葉に変えた時、
それはどんな言葉だろう?
その言葉をインテリアで表現した時、それはどんな形になるのだろう?
それでは、私とY様で作った宮殿にご案内しましょう。

まずは玄関

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ここは深紅のベルベットにスワッグバランスです。
優雅さを出すために浅く多いヒダにし、カーテンの丈は長めにして裾を床に垂らしました。

1階にはY様邸の大きな特徴であるバレエルームがあります。
貴賓さと優雅さをテーマに、こちらもにもスワッグバランスを付けました。

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ボーウインドウはメリハリを付ける為に裾をデザインカットしたフラットバランスに。
シェードにせず、あえてカーテンにすることで優雅さを出しました。

階段を上がるとリビングです。

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奥のボーウインドウは天井が一段下がっているので、
少し低めのスワッグバランスにしました。

寝室をご案内しましょう。

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ベルベット調の無地の上部にゴールドのフリンジを付け、
豪華でシックな仕上がりにしました。
レールはブラックのアイアンレールを合わせて、
他のお部屋と少しイメージを変えています。

もしこの写真だけを単なる施工例として見れば、
豪華なスワッグバランスに目がいくだけかもしれません。
でも私とY様にとっては、きっと違います。
私たちにとっては、カーテンそのものではなく、
カーテンが与えてくれるものが重要なのです。
それが形に出来たからこそ、Y様は泣いてくれたのだと思っています。

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素敵な短所との付き合い方

インテリアと言うのは家の最後の仕上げということもあり、
空間の短所を補正する役割を担うことがあります。
思ったより狭く感じるので広く見せたい、
道路と近いので家の中が見えないようにしたい、などもそうです。
でも短所を補正すると、また新たな短所を生むことがあります。
今回ご紹介するM様邸は、
そんなお客様が感じられた短所を上手くプランに活かした現場です。

まずは施工写真から。
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M様の廊下に取り付けたのは仕上がり巾323㎝の長~いシェード。
使いやすいようにセパレートタイプにしています。
狭い空間を広く見せるのは濃い色や大柄を使わないのがベーシックな手法ですが、
それでは面白みに欠けてしまいますので、一部だけを色違いにしてアクセントにしました。
使用した生地は150巾で横リピートが50㎝。
1巾に柄パターンが3列入っていることになります。
この生地で片側161.5㎝のシェードを作る場合、
150㎝の生地巾では足りませんので2巾を使って161.5㎝に仕上げますが、
それでは両端で柄が切れてしまいます。
そこで、右半分は1巾を三分割してから左右を逆にして余白部分でサイズの仕上がり不足分を補い、
中央の紺色は逆に両端を少しカットして柄のバランスを取りました
左側半分は生地を1巾使い、さきほどの紺色のカット分を両端にはぎ足して161.5㎝に。
ジョイント位置はリングテープの縫い付け位置と合わせているので目立ちません。
この作り方ですと一般的な作り方より1巾少なくすることができ、
なおかつ柄が切れることなく、きっちりとシェードに収まります。

そしてこちらの現場ではもう一工夫。
間に挟まれた紺の生地は、この窓の奥のお部屋にも使われています。
通常、お部屋のドアを開けていることが多いのですが、
それだとウオークインクローゼットが丸見えになってしまうのがM様のお悩みでした。
そこでその開口部にこの生地をパネルカーテンで塞ぎました。

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開口部が斜めになっているので、出窓に使うカーブレールを使いました。
使いたい時はお部屋とウオークインクローゼットの間の壁面に収まります。
開いている時も閉じている時も見えることで、
廊下のアクセントに入れた同色の生地が浮かず、奥行き感を出すことができました。
短所を単純に消すのではなく、見方を変えて活かしてあげることで空間は大きく変わります。
長所と短所って、もしかしたらコインの裏表のようなものかもしれませんね。

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アニマル対決

カーテンには色々な定番柄がありますが、
花柄やアニマル柄と言った『紋様』ではない柄には、作り手の個性や特徴、お国柄が出ます。
花柄が最も愛される国、イギリスはローラアシュレイのような大ぶりのオールドローズで、
フランスはスタイリッシュでエレガント、
北欧は、花の特徴を強調したデザインのプリント生地というように。
では、海外品に共通するアニマル柄の特徴は?と言うと、
『けっして可愛く描かない』ことだと思います。
そして、『それなのに、なぜかとっても可愛く見える』のです。
Y様がキッズルームに選んだのはそんな輸入品の動物柄でした。

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どの犬もなぜか無表情なのに、見ているだけでニヤニヤしてしまうほどに可愛く描かれています。。
でも全体に使うと大人っぽく仕上がってしまうので、バランスにだけ使いました。
カーテンは色を合わせてベージュ、ブラウン、オレンジの3色で。
裾の10㎝だけをブラウンにすることで、無地の部分でも可愛らしさを強調しました。

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2階のホールにもアニマル柄、こちらは当店でも人気の象さんレースです。
柄がはっきりと見えるよう、フラットカーテンでお仕立てしました。

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裾は草原をイメージしてグリーンのバイアステープで。

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一般的な作り方だと10㎝の折り返しになるのですが、それでは柄が重なってしまいキレイではありません。
そうした弱点を利用して、逆に仕上がりを良くすることができました。

ところでこの象さんレース、
一見、海外品のようにも見えるデザインですが国産品です。
バーンアウトの技法を使ってアップリケのように描かれた象さんには、
キッズカラーではないパープルやグレー、濃いネイビーなどが使われ、
どの象さん無表情でありながら、なぜかとっても可愛く見えます。
私の知る限り、日本で最高のアニマル柄であり、キッズ向けカーテンだけ思います。

以前、ある幼稚園の先生がこんなことをおっしゃっていました。
『海外のおもちゃは確かに子供向けではあるけれど、決して子供騙しではないのよね』
あ~、とっても分かるなあ。

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